米国は日本化するのか:ウォーレン・バフェット

年に1度の恒例となっているウォーレン・バフェット氏のCNBCインタビュー第2弾。
これまで日本についてあまり関心がないように見えた同氏が、日本を強く意識している様子が見て取れる。


金利がすべてを決めるんだ。
もしも30年債をショートしS&P 500に30年投資することができるなら、S&Pが30年債を打ち負かす方に大きなオッズをつける。
・・・
もしも今、10年債に10年投資するのとS&P 500に10年投資するので選択するなら、すぐにS&Pを選ぶだろう。

バフェット氏がCNBCで、投資における金利の重要性に改めて言及し、あわせて米国株市場への強気スタンスを強調した。
同氏は、減損の憂き目にあったクラフト・ハインツを例に説明した。
最初から減損分がない価格で買えていたらとの仮想の条件で、債券投資との比較をしている。

「今後30年、長期債利回りが3%程度にあるのなら、株式は信じられないほど安い。
・・・
仮にクラフト・ハインツを700億ドルで買収し(同社が年)60億ドル稼ぐのでも、700億ドルを3%の国債に投資するよりいい。」

700億ドルに対して60億ドルは8.5%
仮に税引後益回りにしたとしても3%よりはるかにいい。
この大小関係は減損前にしても変わらないだろう。

バフェット氏は、この比較で設定した低金利の仮定の妥当性について説明する。

「今、米国だけでなく世界中で低い長期金利が長く続く期間にある。
金利が急激に上昇することはないように見える。」

確かに多くの人が、構造的にインフレや金利が上昇しにくい現状を指摘している。
また、長く続いた金利低下・金融緩和に慣れきった経済が、急激な金利上昇に耐えられないという台所事情もある。
これは、米国もまた《日本化》しつつあるとの連想を生む。

おそらく日本が1990年代に入った、新たな世界にいるのだろう。
もしもそうなら、後で振り返ってとても安かったことになろう。
でも、低金利が継続したというのは米国の歴史ではない。


円の長期金利は1990年の8%台でピークを打ち、その後低下を続け、地を這うような状況にある。
ドルの長期金利も低下傾向にはあるが、こちらにはまだ多く起伏があり、ゼロ金利といった水準ではない。
現在の状況からドル金利が円金利のようになるなら、この日本化は米経済・市場に大きな変化をもたらすだろう。

日米10年債利回り(青:日本、赤:米国)
日米10年債利回り(青:日本、赤:米国)

「株式投資家にとっての本当の問題は、こうした(低)金利が多かれ少なかれニュー・ノーマルなのか、だ。
1990年に日本の金利がそこにとどまることができないと考えた人たちは・・・
日本国債をショートするなどしていた人たちは自滅することとなった。
私たちは古典的な経済学が説明できない世界にいる。」

バフェット氏の口ぶりは決して歯切れのいいものではない。
超低金利は果たしてニュー・ノーマルなのか。
「ニュー・ノーマル」という言葉の生みの親モハメド・エラリアン氏は、2017年にニュー・ノーマルの終焉を宣言している。
その後の金利上昇とともにファンダメンタルズが改善するかによって先行きが変わってくると警告していた。
ファンダメンタルズが金利上昇に追いつかなければ、経済・市場には悪化要因となる。
これがバフェット氏を慎重にさせている。

CNBCキャスターは、日本化のリスク面を尋ねている。
米国は日本のように長期低迷に入らないのか。
日本は確かに長く超低金利が続いている。
しかし、だからと言って、その間に株式市場が絶好調だったとまでは言えない。
仮に1990年という時点をとるなら、この年は日本株を買う時期としては最悪、日本の長期国債を買うのに最高の時期であった。

低金利が続くなら割安というバフェット氏の主張は信じてしまっていいのか。
同氏が日頃から米経済・市場に強気なのは有名だ。
米国が日本のように低迷しないのかについてバフェット氏の答は相対的なものにとどまっている。

私の答は『わからない』だ。
日本は人口減少やエネルギー資源を持たないという課題を抱えている。
米国は日本とは違う。


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