政治

米国の財政リスクが高まる:ローレンス・サマーズ
2020年2月9日

ローレンス・サマーズ元財務長官(元ハーバード大学学長、現教授)が、トランプ政権とそれに一定の評価をするサプライサイダーに噛みついた。


君が正しい哲学を持ちながら、大統領が行った多くのことの詳細を肯定したことに失望している。

サマーズ氏がBloombergで、グレン・ハバード氏を強烈に皮肉った。
サマーズ氏の言論は、その中身の是非を別としても、とても楽しめる、極上のエンターテインメントだ。
日本にこれほどの存在感と表情を持った学者はいない。

グレン・ハバード氏はかつてブッシュ(Jr.)政権で大統領経済諮問委員会委員長を務め、現在はコロンビア大学ビジネススクール学部長を務める人物。
イエレン前FRB議長の後任候補に挙げられたこともある。
かつての良識・節度あるサプライサイダーの1人とでも言うべき学者かもしれない。

そのハバード氏がトランプ大統領の政策を支持したことで、中道リベラルを代表するサマーズ氏が落胆し、怒ったわけだ。
二人とも高名な経済学者だから(ニューケインジアンとサプライサイダーという対立するシマに分かれていても)これまで交流がなかったとは考えにくい。
サマーズ氏は特に、トランプ政権・共和党の財政政策をやり玉に挙げた。

法人税率を21%まで削減したことで投資が有意に増えたとする証拠は何もない。
しかし、上層にいる人々には巨額の利益となったのを私たちは目の当たりにしてきた。

ハバード氏は、減税に投資増加の効果があったと反論したが、二人の表情の作り方からして勝負ははっきりとついていた。
ハバード氏は喩えるなら、パンチのない御用学者の風貌だ。
1970-80年代の米国の中流ホワイトカラーを思い出させるような線の細さがある。
サマーズ氏のような妖怪にも似た圧倒的なオーラはない。

共和党は、10年ほど前のティーパーティー運動にも表れているように、伝統的には小さな政府や緊縮財政を求めてきた。
しかし、実態は、その主張がなされるのは民主党の大統領の時期のみに限られていた。
実際、オバマ大統領の任期中、共和党はたびたび債務上限等を盾にオバマ政権の足を引っ張った。
一方、共和党が大統領を出している時には真逆の政策がとられた。
サプライサイド経済学を振りかざし、たびたび財政悪化を引き起こしてきた。
トランプ政権の財政政策はそれをさらに増幅したものと言えよう。

ハバード氏は、サプライサイダーらしく、規制をより軽くよりスマートに改革すべきと主張した。
抽象論として正しいであろうこの主張にもサマーズ氏は興味を示さず、トランプ政権の政策が孕むリスクを警告している。

私には何が軽くスマートな規制なのかはわからない。
しかし、私がもっと心配なのは、今後数年のうちに再び米国が財政問題に陥るのではないかということだ。


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