ウォートンの魔術師ことジェレミー・シーゲル教授が、米国株市場の現状と先行きのシナリオについて整理している。
「FRB高官はみな今がいいところと言っている。
(金利の)期間構造は右肩上がりのスロープになり、正常化している。
レポ市場も平準化した。
それがFF金利を超過準備の付利の限界まで押し下げた。
タイトではなくなり、十分な資金が供給されている。
このサイドでは状況は緩んだ。」
シーゲル教授がCNBCで、FRBの金融政策を総括した。
FRBの3度にわたる利下げにより、先行きの利下げ期待が一服したと解説した。
《永遠のブル》とも呼ばれるシーゲル教授だが、高値を追い続ける米国株市場についてはやや控えめなコメントに終始した。
S&P 500は今年のoperating earnings(注:特別項目を除く税引後利益を指していると思われる。)の19倍の水準だ。
これは安くない。
今の金利を考えれば高くもない。
しかし、大きな落胆の余地もない。
市場における最大のリスクと考えられてきた米中摩擦も最悪期を脱したとの見方が大勢だ。
まだしばらくくすぶり続ける様子も見えるが《第1段階の部分合意》は米中ともに願うところだろう。
シーゲル教授は、この米中合意が次の大きな上げ材料になりうると話している。
もちろん、貿易摩擦の高まりにより売られるとも予想していない。
もしも(米中間で)何らかの決着がつけば、S&P 500は10%程度上がるだろうが、そうでなければボチボチというところだろう。
企業収益の上昇が起こるまで、現時点ではバリュエーションはかなりいっぱいの状態だ。