弱気派エコノミストのデービッド・ローゼンバーグ氏が、インカムゲインを得られる「実物資産」に似た資産として、米・加のパイプライン株の検討を奨めている。
金融市場が中央銀行による介入でますます歪められ、結果低利回り環境が生じている中、実物資産、特に安定したインカムが得られるものを探すべきとの意見が強くなっている。
私たちが検討に値すると考える1つの選択肢は、私たち独自のモデルが最近のエネルギー・セクターに対して前向きな見方を示したことから、米国とカナダ両方のパイプライン株だ。
ローゼンバーグ氏がFinancial Postへの寄稿で、米・加のパイプライン銘柄を検討するよう奨めている。
最近、石油・天然ガス関連、特に後者への投資を奨める人が多くなった。
ここでは、ローゼンバーグ氏のコラムから、なぜ検討すべきなのか、そのポイントを拾い読みしておこう。
- サウジ減産
- 長期契約による低リスク
- 安定的な「収益を生み出す不動産資産」
- 極めて高い配当利回り
- まだ株価は比較的低位
- バリュエーションも比較的低い
- 再始動の恩恵
ローゼンバーグ氏は、当然の懸念材料についても言及している。
地球温暖化への対処が進む中で、化石燃料に関わる事業が衰退の道を歩むのではないか、との懸念だ。
私たちは今も気候変動にかかわる長期的な投資機会の到来を確信している。
しかし、現実は、クリーン・エネルギーへの転換は一夜にしてなるものではない。
つまり、化石燃料の輸送はいまだに必要だ。
さらに、将来再生可能エネルギーが普及した際、エネルギー保蔵技術ができるまでバックアップとして天然ガス発電が必要とされ、輸送が必要とされるなら、パイプライン企業には思わぬ恩恵が与えらえるかもしれない。
こうした分野がクローズアップされる背景には、まともな格付のフィクストインカムではインフレ分も稼げない低金利環境が存在する。
だから、比較的底堅く、インカムゲインもある不動産が物色され、さらに「収益を生み出す不動産資産」としての資源株・関連株が物色されるのだろう。
ローゼンバーグ氏があえてパイプライン株という周辺領域を推すのは、化石燃料の権益に近すぎるところを攻めることへの戸惑いがあるのかもしれない。