米ドル相場崩壊は不可避:ピーター・シフ

ユーロパシフィック・キャピタルのピーター・シフ氏が、お家芸であるドル相場崩壊予想を繰り返した。
終末論の一種と言えるが、この人の論拠にはところどころキラリと光るところがある。


もちろん(ドル相場崩壊は)不可避だ。
ドルが崩壊するまで、米国は放漫財政をやめられない。
諸外国がアメリカ人にお金を貸し続ける限り、私たち、特に政府は支出をやめない。

シフ氏がRTでドル相場崩壊を予想した。
同氏は米国の本当の問題が双子の赤字にあるとし、それが長い間放置されてきたと指摘する。
そこには第一の準備通貨を発行する国であるがゆえに成り立ちうる借金生活がある。
米ドルには世界中から準備通貨としての需要がある。
だから、ドルを発行してそれを輸入の支払い(の一部)に充てればいい。
他の国々とは異なり(すべて)額に汗して働く必要はない。

「諸外国がドルを主たる準備通貨として保有し、米市民・米政府にお金を貸し続けたことが、双子の赤字の拡大を可能にしてきた。
これによって米市民は収入以上の生活を続けられ、支払うことなく莫大な政府の政策の恩恵を受けてきた。
米国が製造しないあらゆる財を消費でき、貯蓄・製造することなしに消費・債務による経済で生活できている。」

シフ氏は、この都合の良すぎる構図にも終わりが来つつあると主張する。

ドル相場は崩壊するだろう。
ドルが崩壊する時、米国の力は消えてなくなる。

ドルが弱くなれば、米国は輸入物価の上昇に直面する。
さらに、貿易赤字を補うための借金も難しくなり、金利は大きく上昇するだろう。

シフ氏は「審判の日」が来れば、米国が自分のお金で「穴のあいたインフラ」を直し、「収入以上の生活」を切り詰める必要に迫られると予想する。
そして、この危機は不可避だと言い、どうせ迎えるなら早い方がいいと暗示した。

「変化をもたらす唯一のものは危機、ドル危機、国債危機だ。
とっくに起こっていてもよかったのだが、長い年月時間延ばしできてしまった。
しかし、時間延ばしによって本来の問題ははるかに悪化した。」

シフ氏は、皮肉なことに米政府の政策が審判の日を早めるように働いているという。
米政府の敵対的な姿勢がドル離れを助長するという。


「米国が世界中で課してきた制裁は、単に米ドルに代わる選択肢を探す言い訳をまた1つ世界に与えてきた。
・・・
米国は実質的に、米国に餌をくれようとする手に噛みついているようなものだ。
世界はそれを続けるべきかどうか疑問に思っている。
つまり、米国がドルを支え続けるのに必要な多くの国々を敵に回すことで、ドルの終わりへの過程を加速させている。」

シフ氏は米中貿易摩擦について、米国が有利な立場にあるとの見方に異論を述べる。
なぜなら、米国は中国にとって決していい客ではないからだ。

「中国は購買力という点でいくらか米国より弱い立場にある。
しかし、米国の方が失うものが多い。
中国は単に代金を払わない客を失うだけだ。
この客はベンダー・ローンで買い物をしてきた。
・・・
中国は、中国市民が望むものを製造できる国と貿易関係を結ばないといけない。
そうすることで貿易は均衡する。」

さらに中国には、多少減ったとは言え、貿易黒字で蓄積してきたドルの外貨準備がある。
このドル資産が大量に売りに出れば、ドル金利上昇・ドル相場下落により米財政・経済の首が絞まる。
ドル下落はドルを保有する中国にとってもマイナスだから中国はそうしないとの予想が多い。
しかし、米国が輸入関税を実行している今、確率ゼロとは言い切れないかもしれない。

「中国は米国債だけでなく莫大なドル建て債務を保有している。
・・・
もしも中国が保有するドル建て債務を減らそうとすれば、トランプ大統領は他にたくさん欲しがる貸し手がいると言うが、私には信じられない。
こんな低い金利で米国に貸そうという馬鹿な人たちが世界にいるとは思えない。」

シフ氏は、最近の金価格の上昇にも言及し、それがドルへの信認低下によるものと主張した。
(これについては、単に金利低下によるものとの意見も多い。)
他の不換通貨も下落しているため為替レートにはっきりとは現れていないと説明。
じきにドル安が鮮明になると予想した。

シフ氏は、市場が最大のリスクを見損なっていると指摘する。

株式市場は、私がもっと重要と考えるが無視されてきた問題よりはるかに貿易戦争を心配している。
現在は『大きな太った醜いバブル』だ。
大統領候補時代のドナルド・トランプは正しかった。
貿易戦争がどうなろうが、このバブルからは空気が抜けつつあるんだ。


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