ゴールドマン・サックスの富裕層向け部門が、米ドルの準備通貨としての地位は保たれるとして、金投資の有用性を否定している。
私たちの考えは、金とは米ドルの価値が低下するとの強い見方を持つ場合のみに適切だということだ。
私たちはそのように考えていない。
ドルが準備通貨の地位を維持すると考えている。
ゴールドマンの富裕層向け部門CIO Sharmin Mossavar-Rahmani氏の発言をMarketWatchが伝えている。
同氏は、ドルがやや割高であるため、小幅な下落はありうるとするものの、金投資を正当化するような大幅な下落(あるいは大幅なインフレ)は予想していない。
Mossavar-Rahmani氏の意見は、先日の同社コモディティ部門のレポートとは真逆の方向性を指し示すものだ。
同レポートでは、米ドルの準備通貨としての地位が盤石とはいえなくなっているとして、金・銀の価格予想を上昇修正し、投資を推奨するものだった。
富裕層向け部門はこれとは真逆の考え方のようだ。
セル・サイドとバイ・サイドの違いといえばそうなのかもしれない。
各部門が自由闊達に意見を述べるのは良いことだろう。
Mossavar-Rahmani氏は、金投資の戦略的(長期的)・戦術的(短期的)な側面を解説している。
- 戦略的: 選択肢にならない。
デフレ・ヘッジにならず、インカムを生まず、経済成長・企業収益と結びついていない。 - 戦術的: ドルの価値の大幅下落を予想しない限り選択肢にならない。
つまり、長期投資において金の果たす役割は皆無という考えだ。
一方、短期的なヘッジには一定の役割がありうるが、現在はそうした時期にあたらないとの見方である。
それどころか、今は逆方向を向くべきと考えているようだ。
現在の金をめぐる興奮・大騒ぎで私たちは買いに入ろうとは思わない。・・・
実際、現時点で投資家は逆の面に着目し、金に大きなダウンサイドがあると考えるべきだ。