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米ドルの地位が揺らいでいる:ゴールドマン・サックス
2020年7月30日

ゴールドマン・サックスが、市場における米ドル安懸念の高まりを指摘し、金・銀の価格予想を上方修正している。


米政府の記録的水準の債務累積とあいまって、米ドルの準備通貨としての生き残りにかかわる懸念が発生し始めている。

ゴールドマンが、米ドルの価値低下の懸念が高まっていると指摘したと各社が報じている。
必ずしも米ドルが準備通貨でなくなると予想しているわけではないが、その懸念が高まっているという話だ。
両極端の間にはそこそこのドル安シナリオが考えられるのだろう。
ゴールドマンは、改めて金投資を推奨している。

「私たちは長い間、金が通貨のラスト・リゾートだと主張してきた。
特に、現在のように政府がその法定通貨の価値を低め、実質金利を史上最低に押し下げている環境ではそうだ。
・・・
米実質金利にはさらなるダウンサイドがありえ、3月からの金ロングの推奨をもう一度繰り返したい。」

前例のない規模の財政・金融政策によって、米マネーサプライが急増している。
この莫大なマネーが消費や事業投資に向かえば、消費者物価・企業物価が上昇するのだろう。
家計・企業が警戒して貯めこむようなら、その一部が資産市場に向かい、資産インフレを引き起こすのだろう。
金はそうした受け皿の1つであり、さらに価値保存の良い手段になりうるとの神話を背負っている。
また、金利が有意にプラスのうちは、金利という機会コストを伴うが、現在のようにゼロ金利であれば、そうした機会コストはなくてすむ。
金が買われる素地が出来上がっている。

ゴールドマンは今後12か月の価格予想を従来の1オンス2,000ドルから2,300ドルに引き上げた。
銀についても22ドルから30ドルに引き上げている。
同社は6月にも両予想を上方修正していた。

私たちは経済成長に向けてインフレ懸念が続くと予想しており、それが構造的なドル安とともに金ETFへのヘッジのための資金流入を支えると考えている。
金はファンド・マネージャーによってドル(安)ヘッジに用いられていると見ている。

最近の金価格の上昇について、メディアで奇妙な解説がなされることが少なくない。
将来リスクや不確実性を警戒して安全資産である金が買われるといった具合だ。
そもそも、金が安全資産なのかが大いに疑問だ。
そして何より、将来リスクや不確実性を警戒しているなら、株価がここまで高いことの説明がつかない。
株価が高いことは不安感を掻き立てるが、それが金相場と同様に市場に発現するなら、株価はいくらか下げていてしかるべきだ。

金と株が両方高い理由を説明しうるのは何なのか。
それがゴールドマン・サックスのいうインフレ・貨幣の価値低下への備えなのだろう。


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