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米インデックスより現金を:デービッド・ローゼンバーグ
2021年10月3日

ベア派エコノミストのデービッド・ローゼンバーグ氏が、いつものように米市場について悲観的な見通しを述べ、米国以外のチャンスに言及した。


低水準の金利はそれだけ見れば良い要因だが、それが暗示する今後の経済活動の経路も勘案しなければいけない。
単純にいえば、(現状の)1.53%の10年債利回りは、今後長年(10年超)にわたってGDP成長がワクワクしないレベルにとどまることを示唆している。

ローゼンバーグ氏がFinancial Postで、低金利によって高い株価を正当化するロジックの不備を指摘している。
同氏は、低金利が今後の低成長を暗示するのだから、低金利のプラス要因だけに目を向けるのは片手落ちだと言っているのだ。

依然、ベン・バーナンキ元FRB議長が低金利についてコメントしたことがある。
近年の低金利は金融緩和がもたらしたものではなく、経済の実態がもたらしたものだという議論だった。
金融緩和とは、経済の実態が決める中立金利に対し少し低いところに政策金利を設定するものであり、趨勢的な金利低下を引き起こした原因ではないと主張していた。
この見方には議論があろうが、少なくとも一理ある。
仮に金融緩和を徐々に解除したからといって、金利がすぐにかつての高金利時代のように上昇するとは考えにくい。
潜在的な停滞が継続するかぎり、ある程度の低金利は継続するのだろう。

ローゼンバーグ氏はシラーCAPEレシオが38.3倍と、ドットコム・バブルに次いで記録上2位の高水準にあると指摘している。
また、今回のバリュエーション拡大のペースが速かった点にも言及し、下落しやすい状況にあると指摘した。
ただし、同氏は、バリュエーションを用いてもマーケット・タイミングはうまくいかない点を認めている。
だから、現状CAPEレシオがかなり高いからといって、すぐさま暴落が起こるとは限らない。
一方、ローゼンバーグ氏はバリュエーションが将来リターンを暗示するとし、自身の予想を述べている。

過去の記録によれば、今後3年超についてS&P 500のパフォーマンスがマイナスになると投資家は予想すべきだ。

ローゼンバーグ氏はグローバル・ポートフォリオの中で米国株をアンダーウェイトすべきと主張する。
(つまり、外国株には買えるものもあると考えているのだ。)
同氏はRealVisionのインタビュー(Markets Insider報)で、米市場は十分上げてきて、もうリターンが残っていないとし、さらに投資を続けるのは「ローラー車の前に落ちている小銭を拾いにいくようなもの」と警告している。
パッシブ投資家なら、インデックスへの投資をやめ、現金で持っていた方がいいという。

弱気派のローゼンバーグ氏をこうも弱気にしているのは、世界でGDPの350%まで積み上がった債務残高にあるようだ。

「金利が次の(上昇)サイクルに入ったら、何を望むのか用心すべきだ。
次のサイクル入りは、景気後退を引き起こすだろう。
来年じゃないかもしれないが、おそらく再来年だ。」

米国をはじめ、大きな債務を抱えた経済が金利上昇に耐えられず、景気後退を引き起こすとの読みだ。
遅かれ早かれ、これまでの莫大な財政刺激策は峠を越え、反動が始まる。

ローゼンバーグ氏は、その反動が大きすぎてFRBにもオフセットできないと見ている。

米国は来年、とてつもない財政刺激策の終了を迎える。
GDPの3%近い規模だ。
来年の財政圧縮(の引き締め効果)はFRB利上げにすると250 bpに相当する。

なんと皮肉なことか。
この緊縮効果はもしかしたら世間を脅かしているいるインフレを収めてくれるかもしれない。
しかし、経済に引き締め効果を及ぼす。
それなのに、FF金利はゼロに近い水準のままかもしれない。
(財政・金融政策を協調させることの弊害が顕在化しかねない。)

とことん米国に弱気なローゼンバーグ氏だが、米国以外にチャンスを見ているのだろうか。
同氏は少し意外な市場にチャンスを見ているようだ。

私なら日本株に投資する。
日本株のバリュエーションははるかに魅力的だ。

その発言の説得力はいかほどだろうか。
低金利に意味があるように、低バリュエーションにも意味はあるだろう。


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