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ウォール街 空前の暴落に巻き込まれる個人投資家:マイケル・バーリ
2021年8月24日

最近、何度かBloombergがマイケル・バーリ氏について取り上げるのが目につく。
同氏の動きにどのような意味があるのか、チェックしておこう。


UCLA出身で医師免許も持つマイケル・バーリ氏は、ヘッジファンド サイオン・アセット・マネジメントの創業者でCEO。
同氏を有名にしたのは、なんといってもマイケル・ルイス著『世紀の空売り』での取り上げだ。
この医師は前2回のバブル崩壊で赫々たる成果を上げている。
インターネット・バブル崩壊直後の2001-02年、バーリ氏は割高ハイテク株をショートし、市場下落を尻目に大きなリターンを上げた。
2005年にはサブプライム・ローンを分析し、2007年にも不動産バブルが崩壊すると予想した。
質が悪いと見られるサブプライム資産のCDSを購入し、大きなリターンを得ている。

では、この終末博士とでもいうべき投資家について、Bloombergは何を報じたのか。

  • 5/18:(サイオン提出13Fの情報)テスラ株の801,100株に対するプット・オプションを3月末時点で保有。
  • 6/18:(バーリ氏のツイートを引用)「すべての喧伝や臆測は、空前の暴落の前に個人投資家を巻き込むだけだ」
    「メインストリートの損失は国家サイズに近づくだろう。
    歴史は変わらない」
  • 8/17:(サイオン提出13Fの情報)キャシー・ウッド氏の旗艦ファンド アーク・イノベーションETF 235,500株に対するプット・オプションを6月末時点で保有。
  • 8/23:(同13Fの情報)米国債プットのポジションを増やしている。
    具体的にはiシェアーズ米国国債20年超ETFのプットを保有している。
    3月末の1.7億ドルから6月末には2.8億ドル。

Bloombergにしては独自のインタビューでもなく、13Fやツイートによる記事になっている。
それでもこれだけ並べられると、やはり心配になるのが人情だろう。

投資家の間で、マーケット・タイミングの議論が熱を帯びている。
いつ弱気相場が来るかは予想できなくても(再び弱気相場が来る限り、結果論では)その日が1日1日と近づいてくるのは確かだからだ。
これまでの米弱気相場のほとんどは、FRB利上げ終了後に始まっている。
今はまだ利上げの前のテーパリングさえ始まっていない。
こんな緩和的金融環境で市場がピークアウトすることはないというのが強気派の考えだろう。
その一方で、現在の市場・経済環境には特殊要因が多すぎ、経験則では測れないとの見方にも説得力がある。
(ちなみに、日本の市場は結局のところ大局において米市場によって決まると考えざるをえない。)
市場がどちらに動くのか見通しにくいから、バーリ氏のような投資家の言動が注目される。

ValueWalkがだいぶ前にバーリ氏の投資手法を分析していた。

バーリ博士はバリューについて厳密に伝統的な理解を有している。
何度か、自身の投資スタイルがベンジャミン・グレアム、デビッド・ドッド著『証券分析』の上に築いたものと話している。

バリュー・ベースの投資家でショートを使うといえば、デービッド・アインホーン氏が有名だ。
同氏もバーリ氏と同様、サブプライム/リーマン危機を的確に予想し、大きな成果を上げ、名声を得た。
しかし、アインホーン氏の場合、近年いろいろ早く(?)ショートしすぎて苦戦を続けている。
バーリ氏の場合、プット・オプションを使うことから、外しても傷が浅く済む面もあるのかもしれない。
もっとも、13Fはロング・ポジションしか開示されないから、本当のところは本人・会社・出資者にしかわからない。

国債のショートは《ウィドウ・メーカー》(未亡人を生み出すもの)ともいわれる危険な手口だ。
市場には《中央銀行とは喧嘩をするな》という格言もある。
もちろんプット・オプションだからダウンサイドは限定されている。
このポジションはどの程度の変化を見込んだものだろう。
どんな範囲の変化を想定しているのだろう。


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