アリアンツ首席経済アドバイザー モハメド・エラリアン氏が、潔いまでに慎重な投資姿勢を語り、相対的な考え方の危うさを指摘している。
正直なところ、他人のお金を運用していなくてよかった。
(もし他人のお金を運用していたら)短期売買の性格の強いことをやらざるをえなかっただろう。
波に乗るサーファーのように、いつか流動性(の波)が終わることを知りつつ、それでも可能な限り長くそれを続けなければいけなかったろう。
エラリアン氏がスイスthe marketのインタビューで、いかに現在が投資において難しい局面か語っている。
そして、現在の投資の考え方を3つの層に分けて説明した。
- 趨勢的レイヤー: 時間をかけて実ると期待される投資。
テクノロジーと新興国市場。
いずれも価格は上昇しており、配分は小さくなっている。 - 構造的レイヤー: 構造要因、市場の不完全性に根差す投資。
物価連動債。
これも上昇済み。 - 戦術的レイヤー: 短期的。日々チャンスを探す。
エラリアン氏は、これを大きくすべきだろうとするが、ともなうリスクをあまり取りたくないともいう。
エラリアン氏は、自身のリスク許容度が他の人に比べはるかに小さいことを認めている。
言い換えれば、市場が楽観を続ける中、同氏は慎重で用心深いスタンスを続けている。
私は現金で持っている。
償還期限が3-4年を超える米国債を持てば、利回り上昇により価格下落を被る可能性がある。
世界は変わってしまう。
現金を選好するのはエラリアン氏の思慮深さであろうが、同時に聴衆をがっかりさせるせリフでもある。
現金は合理的な置き場所なのかもしれないが、投資先ではない。
エラリアン氏は、投資可能な先を尋ねられ、具体的な答こそしなかったが、いくつかヒントを出している。
- 何かあっても中央銀行が必ず救ってくれる対象か?
- そうでないなら、バランスシートをチェックし、信用分析を行うべき。
- 「流動性を理解」し、今後どう移動するか予想する。
- 流動性リスクについて、どれを取りどれを取らないか決める。
- 「相対的な考え方」だけではダメ。
エラリアン氏は、2つのモノを並べ、片方がましだからそちらを選ぶ「相対的な考え方」はいつかしっぺ返しを食らうと警告する。
例として、ドイツ国債より利回りが良いからギリシャ国債を買うケースを挙げた。
流動性は相対的な考え方を助長し、(投資家は)誤った値付けを始めることになる。・・・
マイナス利回りは、ギリシャの信用リスクに見合う利回りだろうか?
もちろんNoだ。
相対的な考え方が絶対的な考え方にいつ切り替わるかは、誰もわからない。