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私がビットコインを憎まないワケ:ピーター・シフ

ユーロ・パシフィック・キャピタルのピーター・シフ氏が、気の毒なことに再び暗号資産村との戦争に駆り出されている。


「来年、金価格は上昇すると考えており、保有したい。
でも、どれだけ上がるかはわからない。
でも、一たび離陸したら、金は1,500ドルから2,000ドルまであっという間に上がるだろう。
2,000ドルから3,000-4,000ドルまであっという間に上がるかもしれない。」

シフ氏がKitco NEWSで、金への愛を語った。
ゴールド・バグの信念は変わりえない。
一たび金が本格上昇を始めれば、人々が雪崩を打って殺到すると述べている。

いつものようにシフ氏が怒涛のように自説を述べ終わると、キャスターは話題をビットコインに振った。
シフ氏は苦笑いをしながら、それでもいつもの辛口批評を語った。

「私はビットコインが憎いわけじゃない。
だって、憎もうにも存在しないじゃないか。
あれは抽象の世界だけに存在する。
ビットコインと金を混同する人が多く、彼らは『デジタル・ゴールド』と呼ぶ。
これまでも言ってきたように、あれは単なる『愚か者の金』だ。」

シフ氏が批判の矛先を向けるのは、ビットコインの上昇で利益を得ようと買いを煽っている人たちだ。
彼らは様々なストーリーを考え、投資家を誘い込もうとする。
機関投資家がビットコイン投資を本格化させるなどというストーリーも語られたが、現状は程遠い。
初めはドルやユーロに変わるマネーになるという話だったが、これを決済手段にしているのはよほどの物好きか犯罪者・ならず者国家ぐらいだろう。
このため、ストーリーの中心は価値の保存になったが、シフ氏はそもそもビットコインに価値はないと言い切る。
同氏によれば、金には価値があるのだという。

金は通貨であった時期があるが、ビットコインは通貨足りえるのか。
資産価格の実証研究の第一人者であるロバート・シラー教授は、金が数千年続くバブルと称した。
ならば、ビットコインは自明だろう。
教授はビットコインをバブルの典型と話している。
史上最高のヘッジファンド・マネージャーと称えられるレイ・ダリオ氏も、ビットコインはバブルと言っていた。
その一方で、通貨の減価への備えとして、ポートフォリオに金を組み込むよう推奨している。
ビットコインも金もインフレ・ヘッジがセールス・トークになるが、説得力では実績ある金の方に軍配が上がるようだ。

シフ氏は、上から目線で畳みかける。

「問題を正しく認識し損ねた人たちがかわいそうだ。
法定通貨に問題があり、インフレをヘッジしなければいけないことがわかっていながら、ビットコインがヘッジになると誤解した人たちだ。
ビットコインはヘッジにならない。
金こそがヘッジになるんだ。」

いずれにも関心のない者からすれば、まさに《目くそ鼻くそを嗤う》とはこのことだ。
(誤解のないよう言うが、FPを運営する浜町SCIは極めて暗号資産に寛容である。)

ビットコインの話題になった時にシフ氏が苦笑したのには理由がある。
同氏は日頃の発言のために、暗号資産村の住民たちから過酷なバッシングを受け続けているのである。
今日日シフ氏は伝統的金融メディアより暗号資産村のメディアに取り上げられることの方が多くなっている。

シフ氏も黙ってはいない。

「若い人たちが、私のような人間を世情に疎く技術を受け付けない単なる年老いた愚か者と考えているのは知っている。
私が言いたいのは、そういう若者は世間知らずで経験もなく知恵もなく、詐欺のようなものにはまっているだけということ。
・・・
私は必ずしも、ビットコインを知っていたり買ったりする人たちの知能を侮辱しているんじゃないんだ。
賢い人も多くビットコインを買っている。
でも、不幸なことに、彼らはたくさんのことに賢いものの、投資については賢くないんだ。」

どういう人がビットコインを買っているのだろう。
米国では若い世代がほとんど抵抗なくビットコインを買っているという話をよく聞く。
日本の場合はもう少し状況は安心できるように思う。
ボラティリティのなくなった金融市場を見捨て、ビットコインでギャンブルを楽しんでいる人が多いように見受けられる。
もしそうなら、目くじら立てて批判すべきものでもなかろう。
(同様に、優遇すべきものでもなかろう。)
仮にビットコインが暴落し、大きな損を被る人が出ても、それはいい勉強でもある。
多くの中高年がバブルの時代に経験したのと同じ勉強だ。

シフ氏はまじめな人柄だ。
肩の力を抜いていい加減に流すのをよしとしない。
ビットコイン投機家たちに至極まじめにアドバイスしている。

強気相場、今回はバブルと知能を取り違えている人が多い。
でも、早い時期にビットコインを買った人は早く売った方がいい。


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