ジョセフ・スティグリッツ
 

社会契約からやり直せ:ジョセフ・スティグリッツ

ジョセフ・スティグリッツ教授が、新著に関連してエコノミスト誌のインタビューに応えている。
資本主義が歪められているとし、市場・国家・社会のバランスを立て直す必要があるという。


(資本主義には)明らかに歪められた面がある:
少数の人たち-金持ち・権力者とその子供たち-が他の人たちよりよりよいチャンスを得て、優位性を継続することができる。
教科書に書かれるような競争的でも公平でもない場になっている。

スティグリッツ教授がThe Economistに話している。
エスタブリッシュの側で、こうした社会問題をここまで直截に表現できる人も難しい。
教授の正義感は筋金入りだ。
余談になるが、最近でもスティグリッツ教授が近いと思われていたローレンス・サマーズ氏を批判して世間を驚かせたことがあった。
教授からすれば、誰が主張しようが正しいものは正しいし、間違っているものは間違っているのだ。

そのスティグリッツ教授が、資本主義が歪められていると指摘する。
言葉面だけなら右翼ポピュリストと似たような主張にも聞こえる。
しかし、勝ち負けが発生するのは資本主義の常ではないのか。
なぜ、教授は資本主義を根源的に悪というのではなく、歪められていると指摘するのか。

あまりにも多くの人たちが、国の経済のパイを増やすことではなく、他の人たちから市場の力・情報上の優位・脆弱性を通し搾取しより大きなシェアを奪うことによって裕福になっている。

全体の繁栄に寄与することで裕福になるのなら、ある程度ウィン-ウィンだ。
しかし、現在の格差拡大は必ずしもそうでないといいたいのだ。


(Amazon:『People, Power, and Profits: Progressive Capitalism for an Age of Discontent』)

スティグリッツ教授は、レーガン政権・トランプ政権の(いわゆるサプライサイドの)経済政策が企業や金持ちに有利なものと指摘、格差を拡大したと批判する。
レーガン時代には進歩主義者の側にも一部政策への賛同が見られたのに対し、トランプ政権では党派間の分裂が拡大していると指摘する。
教授の酷評する政策・変化は多い:

  • 金融・環境規制の撤廃
  • 平均的国民は増税、企業・金持ちは減税
  • 製薬・医療保険の企業利益が上昇しているのに、非加入者は増加
  • 寿命が低下
  • 最下層の実質賃金は60年前から改善せず

こうした多くの問題を解決するために、スティグリッツ教授は『進歩主義的資本主義』と呼ぶ変革を提唱している。
市場・国家・社会の間のバランスを取り戻すために、社会契約のあり方から改めるよう求めている。
壮大な話であり、具体性がともなっているとはいいがたいが、人々をドキリとさせるところがある。

これによって、市場や創造的起業家精神の力が社会の厚生をより全体的に改善するよう方向づける。
そのためには経済のルールを書き換えないといけない。
たとえば、21世紀のテクノロジー・金融分野の怪物の有する市場の力を小さくする、グローバリゼーションが企業のためだけでなく通常のアメリカ人のために機能するようにする、そして、金融セクターが他の何のためでもなく経済のために奉仕するようにすることだ。


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