短期、長期、超長期の円相場予想:佐々木融氏

JP Morganの佐々木融氏が、平成の30年のドル円相場を振り返った。
短期、長期、超長期の予想が述べられており興味深い。


ドル円相場は来年の半ばぐらいで118円くらいまで行くと見ている。
年後半には112円ぐらいまで落ちてくるだろう。

佐々木氏がReutersに語った。
2019年のドル円相場予想は円安ドル高のち円高ドル安ということのようだ。

佐々木氏は平成の30年の円相場を回顧し、2つの大相場を指摘した。
1つ目は1995年の1ドル79円75銭まで進んだ円高。
ビル・クリントン政権発足後に円高が急速に進み、そこからローレンス・サマーズ氏と榊原英資氏が引き戻した大相場だ。

平成の時代に円高ドル安が進んだ大きな理由は、日米の物価上昇率の差である。
長期で見れば、為替レートとは2国間の物価に均衡をもたらすものだ。
動的には、物価上昇が緩慢な通貨ほど相対的に強くなる傾向となる。
佐々木氏は、1995年の円高ドル安について、これが必ずしも当てはまらないと指摘する。

「まだ物価の差がさほどついていないときに79円75銭まで行ったのだから、相当な円高だった。」

この円高ドル安は、貿易摩擦好きな米民主党政権の口先介入によるものだった。

2つ目の大相場は、アベノミクスによる円安進行だ。
佐々木氏は、物価水準から見た現在のドル円相場の均衡水準が90円台前半だとし、アベノミクス開始後に明らかに円安方向に振れたと指摘する。
名目のドル円相場で見れば、平成の30年で円高になったように見えるが、実質実効為替レートでは3-4割円安になっていると話した。
この円安はなぜ起こったのか。


「金融緩和は(円安に)影響していると思う。
それは、金利が低いというのがポイントだと思う。」

佐々木氏が言いたいのは、金融緩和の効果は量(マネタリー・ベース)ではなく金利であったということだろう。
さらに、この円安は金融政策だけがもたらしたものではないとも滲ませている。

実は技術の発展が生んでいる円安なのかもしれない。

佐々木氏は、情報通信の急速な発達で、国内投資家が海外の情報を入手しやすくなった点に注目する。
これにより日本企業の海外投資がやりやすくなり、そのマネー・フローが円安の一因になっている面もあるのではないかという。
このマネー・フローは足元でも健在で、それが佐々木氏の来年の円安予想の根拠だ。

「これだけの円安水準にとどまっているのにはやはり理由がある。
それは日本からの外へのフローだ。
来年はもう一段金利差が開いて来るので、ここに外国人投資家の円売りが加わって来るのではないか。」

これが2019年半ば118円の予想となる。
ではなぜ2019年後半には112円まで戻すのか。
佐々木氏は明言しなかったが、米国や世界の景気後退懸念が強まるためかもしれない。

「長期では、世界経済が大きく後退する、景気悪化すると、ドル円相場は基本的には均衡レートに戻るはずなので、90円台の方向に戻るだろう。
一度75円まで行っており、そこからさらに日米物価上昇率の差がついているので、70円台もないとは言えない。」

景気後退入りならリスク・オフの円高というのがコンセンサスだろう。
結果、景気後退と円高のダブル・パンチを受けるが、金融政策はほぼ全開に近く、有効な追加緩和の余地はほとんどない。
佐々木氏は、「財政政策をドーンと打ち、財政支出をすることになる」という。

やり方次第ではバラマキになり、通貨の価値が落ちることはありうる。
30年(予想)と言われたら円安だと思っている。
歴史上、こういう政策を始めたら結局最後までやめられないのだろう。


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