相対価格の議論が意味を失いつつある:モハメド・エラリアン

アリアンツ首席経済アドバイザー モハメド・エラリアン氏が、債券市場の性質の変化を解説した。
債券市場が持続不可能な領域に近づくにしたがい、その危うさは株式市場にも及ぶと警告している。


債券市場への考え方を変えなければいけない。
・・・私たちはこう考えてきた:
これこれの構造的な点から、株式とは反対に、債券でアウトパフォームできる。
これは現在の債券市場に対する考え方としては正しくない。

エラリアン氏がCNBCで、債券市場の変貌を語った。
債券という資産クラスは過去、株式とならぶポートフォリオを構成する代表的な資産クラスだった。
エラリアン氏も、以前は債券がポートフォリオのコアとして資金を配分されるものだったと語っている。
ところが、そのメイン・キャストのステータスが揺らぐ大きな変化が起こっているという。

現在の債券市場はチャンス次第で参加すべき市場だ。
・・・ポジションのチャンスを探さないといけない。

かつては、債券はポートフォリオ全体に対してある程度の大きな構成比を占める資産クラスだった。
債券はマストに近い投資先だった。
債券戦略とは、その構成比を前提とした上で、どの債券を買うかを決めるものだった。
しかし、今ではチャンスがある時だけ組み込む資産クラスとなった。

何がこうした変化をもたらしたのか。
何が変化後の投資戦略のカギとなるのか。

エラリアン氏は、投資家は「目標を共有しない誰か」を考慮に入れなければいけないという。

各国の中央銀行だ。
債券市場に商業目的を持たず参加している。
金儲けを目的とせず、あなたと目標を共有しない。
彼らが完全にゲームを歪めている。


市場参加者がみな優れたリスク/リターンを実現することを目標とするなら、市場は市場の論理によって動くことになる。
ところが、ここにリターンを求めないクジラが参入してきた。

「私たちは、地下室に輪転機を持ち、商業目的以外で市場参加している主要プレーヤーが存在することを理解しなければいけない。
だから、債券市場への考え方を変えないといけない。」

エラリアン氏は、投資家が古いルールにしがみつけば負けてしまうと警告する。
利益を求めないクジラがゲームのルールを決めているからだ。

債券はかつてリスク・オフの局面における逃避先として盤石の地位を得ていた。
しかし、マイナス利回りがその地位を揺るがしている。
投資家は金利のない世界に追いやられ、それが長い人生設計を難しくする。

エラリアン氏は、現状、安全な逃避先は現金しかないと言い切る。

「長期的な財務上の守りがとても難しくなっている。
これは生命保険だけの話ではなく、引退(資金)もそうだ。」

エラリアン氏は、伝統的な株式・債券の補完的関係が揺らいでいるという。
結果、株式・債券の魅力を相対的に語ることの意味が失われつつあると示唆する。

あなたは相対的な意味で「債券がこうなら、株式はよく見えない」というように話した。
でも、債券と株式の両方が割高ならどうなんだ。
私たちはそこに近づいている。

特に株式市場のセルサイドにおいて株式・債券の相対価格の議論が好まれる。
債券が上がり債券利回りが下がると、それを株式の益回り・配当利回りと比べて、株価は割安と主張するやり方だ。
しかし、ベース(金利)がおかしければ、この議論がおかしくなることは明らかだ。
ベースがおかしいということこそ、債券利回りの極度な低下であり、中央銀行による操作なのだ。


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