白井さゆり教授:QQEが企業・政府を甘やかす

Share

金融緩和が実体経済を蝕む

白井教授の金融政策への懸念は金融緩和効果だけにとどまらない。
むしろ、実体経済への波及を心配している。


「国債市場の機能が崩れ、価格発見機能が無くなっている。
政治・企業も低金利に慣れ、必要な改革意識が後退している。」

とし、企業や政府財政の規律が失われかねないと示唆している。
教授は「日本経済の将来にとって危険だ」とさえ言った。
つまりその真意は、あまりにも長く、過度かつ人為的な金利低下要因を市場に与えること自体への危惧にあるのだ。
そのため、金融政策の枠組み全体を見直すべきと主張する。

  • 現実的な物価見通しの作成・公表。
  • 見通しに合った資産買入額。
    「まず国債買い入れを一時的ではなく、50兆円を目指してテーパリングを開始し、その後に市場の状況を見ながらさらに段階的に縮小。
    長期金利目標もゼロ─0.5%程度などへ移行し、次第に柔軟性を高めていくべき。」
  • フォワード・ガイダンス強化。
    「一時的に国債金利が上昇するかもしれないが、より客観的な見通しとそれに沿った政策を示す方が、現行政策よりも信頼が高まる。」

海外で金利上昇が始まった?

買入れの「量」なのか、買入れが目標とする「金利」なのか。
議論のあるところだろう。
現状のような金利ペッグの難点は

  • 国債市場の価格発見機能の阻害。
  • 金利を決めることは完全な官製市場であることを意味する。

量を示して買い入れるのであれば、ほんのわずかとは言え価格変動を通して実体経済に何らかのシグナルを発するようになるかもしれない。
また、市場参加者の収益機会も増え、資産価格の歪みも少なくなるのかもしれない。
一方で、買入れの量に戻したところで、国債市場が相当に人為的に低位に置かれている可能性は拭えない。
低レベルどうしの比較のようにも感じられる。
逆に、金利でコントロールするやり方はわかりやすいし、買入れの量がむしろ少なくて済んでいる間は柔軟性のある都合のいいやり方のようにも思える。

海外の主要中銀が金融政策を転換しようとする中でも、日銀が金融緩和をやめる目は小さいと思われる。
しかし、海外の金利上昇につれて円金利に本格的な上昇圧力がかからないとも限らない。
買い入れる量をフィックスすることで、それをストップさせられるだろうか。
あるいは、金利差を維持するように長期金利の上昇を容認するのか。
久しぶりに日銀の金融政策が注目される状況になってきた。