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生産性向上がすべてを変える:バリー・アイケングリーン
2021年5月12日

IMFのシニア政策アドバイザーなどを務めたUC Bercleyのバリー・アイケングリーン教授が、パンデミック後の生産性向上の重要性を説き、楽観できない通例を解説している。


生産性向上がすべてを変える。
労働力の拡大が緩慢ですでに資本ストックの大きな先進国経済では、通常(生産性向上が)GDP成長率の大半を説明するものだ。

アイケングリーン教授がProject Syndicateで、先進国にとっての生産性向上の重要性の意味を説明している。

社会が成熟し大きな人口増を望めない(むしろ減少しかねない)中では、労働人口の拡大に多くは望めない。
限られた労働人口で生産を増やすために重要なのが生産性向上だ。
これが実現できれば賃金上昇の追い風となり、消費にもプラスになる。
さらには、国の税収も増え、持続可能な借金の規模も大きくできる。

アイケングリーン教授は1月、財政出動の内容として定額給付を疑問視し、インフラ投資が望ましいと主張していた。
定額給付が消費に及ぼす効果が不透明な一方、インフラ投資は元の取れる支出だと主張していた。

アイケングリーン教授は、生産性向上の好循環が1996-2004年のNew Economyブームの時代に実現していたと指摘する。
情報技術の進展が生産性向上を可能にしたとし、今回も同様の変化が起こりうるとの意見を紹介している。
一方で、必ずしも楽観できないとも書いている。

科学の進歩が・・・楽観の最も基本的な根拠になっている。
しかし、悲観の最も基本的な根拠は、それら進歩が生産性の数字に表れるのに何年もかかる可能性が高いことだ。

アイケングリーン教授は参考とする過去の時期として1918-20年のスペイン風邪の前後を挙げている。
スペイン風邪の前に起こった技術革新が生産性の数字になって現れるまで10年以上の期間が必要だっとし、経済政策に2つ注文をつけている。

  • 生産性向上の実現までにラグが出る可能性を認識した上で計画すべき。
  • 適切なインフラ投資は生産性向上の実現を加速する。

アイケングリーン教授は、正しい政策が選択できるか否かで、結果が大きく変わると予想する。

これ(生産性向上)こそバイデンのアメリカン・ジョブ・プランとアメリカン・ファミリー・プランにおける4.1兆ドルの支出を賄う唯一の方法だ。・・・
生産性向上の加速こそ、経済過熱とインフレへの懸念を解消する唯一の合理的な根拠になる。・・・
早期の生産性向上が遅れるとの懸念が高まるほど、加熱シナリオの回避のため、バイデン政権は財源を税収で賄うよう主張すべきとなる。

生産性向上により需給が逼迫せずインフレも起こらないなら、経済は成長し、財政問題も深刻度合いが比較的軽くてすむかもしれない。
一方、生産性向上に手間取れば、インフレで金融引き締めを強いられ、増税が避けられなくなることで、金融・財政政策が同時に引き締まるというよろしくないシナリオが実現しかねない。


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