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生命維持装置を外す時:レオン・クーパーマン
2021年10月2日

著名投資家レオン・クーパーマン氏は、従前からの短期強気・長期弱気のスタンスを継続しつつ、短期的に10-12%の調整が入る可能性に言及した。


FRBが敵になるか、ドルが大幅に下がるか、景気後退が鮮明になるかしない限り、市場は大きく下げないだろう。

クーパーマン氏が、市場が大きく下げる場合の条件について語った。
現時点では、いずれの条件も心配する状況にはないのだという。
同氏は、条件付きで現状の株式市場がバブルと程遠いと話した。

「金利が現状のままなら、株式市場は割高ではない。・・・
2000年のテクノロジー・バブルを振り返ると、ウォルマートのPERは44倍、シスコは380倍、インテルは54倍、GEは45倍、IBMは32倍だった。
2000年当時の10年債利回りは6%を超えていたんだ。」

同様の高倍率は1972年(ニフティフィフティの時期)にも見られたという。
現状のS&P 500のPERは実績に対し30倍、予想に対し21倍の水準だ。

クーパーマン氏の結論は、株価バリュエーションが現状バブルとはいえないということだ。
本当のバブルの存在は他のところにあるという。

「バブルは債券市場の方なんだ。
金利は単純に低すぎる。・・・
世界中の中央銀行がこの意味のないゼロ金利の崇高な実験を行っている。」

クーパーマン氏は、問題の主因がFRBをはじめとする金融政策にあると指摘した。
そして、足元のインフレを一過性と主張し続けるFRBを批判した。

「人件費は企業のコストの64%を占め、景気後退にならない限り下がらない。・・・
インフレはFRBが思うよりはるかに高くなると思う。
パウエル議長はまずい状況だと思う。」

しかし、それでもクーパーマン氏は「FRBが敵になる」とは想定していない。
つまり、FRBが異例にインフレを許容するという読みなのだろう。
結果、短期では大きな下げを心配していないとの結論になるが、ただし、調整はいつでも起こりうるとも話す。
今の状況を考えれば、調整があったとしても10-12%程度ですむと予想しているという。

78歳の老投資家はいまだに元気いっぱいだ。
他人のお金を預かることはやめたが、今でも自らの巨万の富を運用する。
そして自ら「長期志向」の投資をしていると明言する。
まだ長く長く稼ぐつもりであり、それゆえに長期では心配が絶えないようだ。
それは、過去、経済や市場が前借りを繰り返してきたことへの心配であり、いつかつけを払うことへの心配だ。

財政・金融政策が将来の需要を先食いしてきた。・・・
経済は2008年以降政府からある種の生命維持装置を施されてきた。
この生命維持装置を取り外すのは容易ではない。


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