甘く考えるな:ローレンズ・サマーズ

ローレンス・サマーズ元財務長官(現ハーバード大学教授)が、珍しく投資家向けアドバイスを語っている。
米経済・市場のリスクは増したとし、投資家がとるべき基本的スタンスを推奨している。


「昨日の利上げは、金融安定や物価安定という基礎のもとに決定されたものではなかった。
インフレは制御されており、下がっているものもある。
1か月前には市場に自己満足があったことを考えれば、数週間前以降には自己満足が見られないことがわかるはずだ。」

19日のFOMCの翌日、サマーズ氏はCNBCで、FRBの利上げ判断を批判した。
同氏によれば、経済も市場も利上げすべき状況ではなかったという。
そのような状態での利上げ強行により、米経済のリスクは過熱やインフレの側から後退や鈍化の側に変化したと分析している。
サマーズ氏は2019年に向けてのリスク要因を挙げ、数か月前よりリスクは上昇したと語った。
・遅れて効いてくる金融引き締めの効果
・財政刺激策の拡大終了
・不透明な地政学的リスク
・不透明な国内政治
・金融市場のボラティリティ・不確実性

サマーズ氏は、FRBに対する認識を改める必要があると話す。

「私たちはFRBについて不可知であるとの認識に回帰しなければいけない。
・・・
FRBは、私たちと同じように、将来がどうなるか予想できないことを認識し、データ次第であることを宣言し、絶え間ない経済統計を注意深く読み、こうした強いシグナルを送ることに用心しなければならない。」


経済が明らかに悪い時期、FRBの判断は比較的簡単だ。
手段については議論があろうが、方向性としては金融緩和を行えばいい。
しかし、経済が回復し物価目標も達成されるようになると、金融政策の方向性についての考えは割れるようになってくる。
だから、FRBには最善の分析・意思決定が求められる。
市場の側も、FRB判断がきわどい状況で下され、どちらに転んでもおかしくないという事情を理解しておかないといけない。
さもないと、片側に決め打ちした市場は、サプライズによって大きな打撃を受けることになる。

CNBCキャスターは大胆にもこの経済学者に投資のアドバイスを求めている。
サマーズ氏は「わからない」と断りながらも、一般論の回答を話している。
その回答はもちろん唯一絶対のものではないが、神童らしいバランスのとれた回答には好感がもてる。
レイ・ダリオ氏やハワード・マークス氏が乗り移ったかのようだ。

私がいつもアドバイスするのは、マーケット・タイミングを試みたり、何かの評価に基づいて頻繁に売買したりすべきでないということだ。
知られている経験から言えるのは、ほぼ誰も正確にマーケット・タイミングできないということ。
私の一般的アドバイスは、株式と債券の資産配分を選定すべきというもの。
投資家のリスクへの姿勢を反映した資産配分を選定し、市場が変動してもそれに固執すべきということだ。
甘い考えを持たず、落ちるナイフを掴もうとせず、相場が下げてもパニックするな。

ただし、マークス氏は以前、果敢にも落ちるナイフを掴みたいと語っていた。
これが経済学者と投資家の違いだろう。


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