環境変化は言い訳にすぎない:ピーター・シフ

Euro Pacific Capitalのピーター・シフ氏が、ハト派への転換を鮮明にしたFRBについてコメントした。
いつもながらベアな見方だが、今回は特にFRBに対する批判がすさまじい。


「FRBがますますハト派的になったことは全く驚くに値しない。
唯一私が驚いたのは、FRBがこうなるまで長い時間がかかったことだ。」

シフ氏がポッドキャストで、FRBの完全なハト派転換について感想を述べた。
シフ氏は、FRBがハト派に戻るまでに長い時間がかかった理由をトランプ大統領に求めている。
「米国を再び偉大にする」政策、減税など刺激策、それらを前向きにとらえる見方が熱狂を生み出し、それがFRBの「やっているふり」に猶予を与えていたのだという。

シフ氏は、FRBがハト派に戻ったことに対する市場の反応にもかみついた。

「FOMC後のCNBCの報道では、アナリストが次々と出てきて基本的にFRBを称賛していた。
・・・誰も、FRBが間違っている問題を認めない。
今FRBがやっていることは、過去FRBが間違っていたことの証拠なんだ。」

シフ氏は、FRBの金融政策正常化への努力を「間違っていた」と言っているのではない。
その前の金融緩和が誤りだったと言いたいのだ。
そして、正常化についても「やっているふり」にすぎないと冷たい。

「FRBが(正常化を)早くやめてしまったのは、それを完遂できなかったためだ。
利上げを停止したのは、米国が過大な債務を抱え、利上げを続けられなかったためだ。
バランスシート縮小の中止を宣言したのは、できないからなんだ。
FRBがずっとできるふりをしていたことができなかったんだ。」


米経済の先行きに強気な見方が残っている点についても、シフ氏は全否定だ。
過去のFRBの金融緩和の効果を否定し、現在の米経済の強さも否定する。

「FRBは持続的回復など生み出さなかった。
FRBは単純にバブルを膨らませ、すでにバブルから空気が漏れ出している。
だからこそFRBは変化したのであり、180度転回したのであり、辛抱強くなったんだ。
環境が変化したのではない。
それは単なる言い訳で、最初からこうなることを私は予想していた。」

「環境」とは常に変わるものだから、「環境が変化」したと言って間違いになることはあまりない。
しかし、昨年9月から今までの環境変化は、果たして9月から今までのFRBのスタンス変更と釣り合っているだろうか。
そう考えると、シフ氏の言う「言い訳」という指摘にも説得力が感じられてくる。

トランプ政権の政策と市場の楽観がしばしFRBにタカ派的なスタンスを許してきたという見方は(程度はどうあれ)妥当なものだろう。
しかし、シフ氏は一歩進んで、本当の問題の表面化、つまり金融政策の正常化は不可能で、それがバブルを温存している点を問題視する。

今となっては問題はさらに大きくなった。
この問題が悪化するにしたがい、米国は将来さらに大きな危機を迎えるだろう。
FRBが結局ゼロ金利に戻り、FRBがまだ認めようとしないQE4を行わざるをえなくなった時だ。


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