現金保有とバークシャーの経営方針:ウォーレン・バフェット

ウォーレン・バフェット氏とチャーリー・マンガー氏がバークシャー・ハザウェイの年次株主総会でたくさんの質問に答えている。
ここでは、バークシャーの莫大な現金保有についての議論を紹介する。


「この質問はまったくもっともな質問だと思うし、数字について議論するつもりはない。
提案されたやり方は、私の後継者が実行するかもしれない。
しかし、比較検討した上で、私はインデックス・ファンドに投資し、残りを米国債で運用する方がいいと考えている。」

ある質問へのバフェット氏の回答をYahoo Financeが伝えている。
その質問とは、バフェット氏が投資家や投資対象に対して奨めているやり方を自社で行っていないとの指摘だ。
バフェット氏は、

  • 投資家へは、インデックス・ファンドなどの分散されたポートフォリオへの投資を奨め
  • 投資先へは、手元に現金を遊ばせず、自社株買いなどを奨めている。

ところが、投資家であり投資先であるバークシャーでは(投資先をインデックスにするかはともかく)手元に莫大な現金を持っている。
質問者は、手許現金を持っていなければ、もっとパフォーマンスが上がっていたと指摘したのだ。
ある意味結果論ではあるが、バフェット氏はこの指摘を受け入れた。
その上で、自身のやり方としては従来どおりの方法が望ましいと言い切ったのだ。

私たちは投資のチャンスを見ていくのだが、チャンスはおそらくまとまってくるんだ。
そして、そういうときは、他の人たちは投資をしたがらないものなんだ。


バフェット氏は莫大な現金を手元に置いておく理由を語っている。
金融危機が起こるたびに、バークシャーは底値買いに勤しみ、それが米経済におけるラスト・リゾートとして機能してきた。
その典型例が、リーマン危機後に深刻な経営危機に陥ったゴールドマン・サックスへの投資だ。
平時には、ピカピカの発行体に有利な条件で投資することなど到底望めない。
しかし、危機の間ならそうではなくなってくる。
ただし、問題なのは、危機の間はバークシャーであっても機動的に莫大な資金を調達するのが難しくなってくることだ。
だから、手元に現金を置いておく必要がある。

マンガー氏も、バークシャーの現金保有について肯定している。

「現金について他の人たちより少し保守的だったことは認めるが、それでいいと思う。」

現金保有は資金を遊ばせることにもなるが、それは同時に待機資金でもある。
バフェット氏は、現金とインデックスの二者択一ならばインデックスだろうとしながら、バークシャーのような巨大投資会社では必ずしもそうならないと考えている。

「今後20-30年のうちに2-3回は黄金の雨が降ることがあり、みんな外に出るだろう。
でも、いつ降るかはわからないし、私たちは大金を運用している。」

さらに、バフェット氏は、上場企業の経営者としての規律にかかわるコメントもしている。
バフェット氏は、バークシャー持ち株だけで世界第3位の大富豪になっている人物だ。
自身の給料・報酬は年100千ドル程度、フリンジを入れても3倍程度だ。
多くの日本の上場企業の社長より少ない給料・報酬だ。
バフェット氏の損益は、ほぼ株主の損益と同期している。
これが、株主との利益相反の少ない経営を実現しているのかもしれない。

バークシャーについて極めて明確に理解しなければいけないことは、私たちが会社をどう経営しているかだ。
バークシャー株に事実上純資産すべてを投資している投資家に奉仕するように経営しているんだ。
たまたま自分個人もそういうポジションだが、どんな状況でもそう経営したいと考えている。
私たちは私たちを信じてくれる多くの株主を得ている。


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