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現金がゴミである時の投資戦略:レイ・ダリオ
2021年3月19日

ブリッジウォーター・アソシエイツのレイ・ダリオ氏が「現金はゴミ」発言を繰り返す一方で、今後迎えるかもしれない米国株市場の調整について言及した。


現金はゴミだ。
保有するリスクが低いように見えて、そうじゃない。
ゼロ金利、一部の諸外国では小幅にマイナスの金利になり、2%以上のインフレになると、『税金』を持っていかれる。
基本的に、年2%ぐらいの購買力を失うことになる。

ダリオ氏がBloombergで、米市場のおかれた金融抑圧の状況を解説した。

仮に、FRBが2%物価目標を基調的に達成するなら、狭義の現金は年2%ずつ購買力を失っていく。
いわゆるインフレ税がかかってくる。
「現金」を広義に解釈し、短期債を含めても、問題はたいして変わらない。
FRBは長い間FF金利誘導目標を現在の0-25 bpに保つと見られており、FRBもそう宣言しているから、短期債でも約2%ずつ購買力は失われる。
もっと長い債券なら少しは《税率》が低くなるかもしれないが、逆に金利上昇時の価格下落リスクを抱えることになる。
ダリオ氏は、米10年債に触るつもりはないと語っている。

現金や債券がダメなら、何に投資すればよいのか。
ダリオ氏は2つのポイントを述べている。
1つは、ダメなものをショートする発想だ。

何かやれるとするなら、現金を借りて(利回りが)ゼロより良い何か、インフレになる何かを探すことだろう。
インフレが年2%超で推移するような平均的なものを買えば、儲かるだろう。

もう1つのポイントは分散投資だ。
ダリオ氏は、資産クラス、通貨、国をうまく分散するよう奨めている。

ダリオ氏が現金をゴミとし、債券に魅力がないという時、その趣旨は理解できるものの、1つ引っかかる点がある。
それは、現金や債券が(名目ベースではあるものの)備えているフロアの要素だ。
リスク資産の価格が高値圏にある時、次の弱気相場に備えて一部を現金・債券にしておくべきではないか。
ダリオ氏は、株式等も名目価格が落ちないと考えているのだろうか。

ダリオ氏は同じ番組で、ヒントになりそうな相場のイメージを語っている。
刺激策のおかげで経済やインフレがリバウンドし、それが逆に経済の重しになっていくプロセスだ。

まず金利上昇が金融資産価格を損ない始める。
典型的には、最初に債券が傷み、それが伝播して株式が傷む。・・・
株式への影響が始まると、1つには、株式市場が10-15%調整するかもしれない。

ダリオ氏は、この先、名目株価が下落する可能性を公言している。
それでも、価格にフロアがある現金や債券を奨めない。
この点を明確に説明していないが、株式より先に現金・債券が傷むということなのかもしれない。

ダリオ氏は、10-15%程度の株価調整ならばFRBが容認する可能性があると話す。
一方、それを超えて下げるようなら、経済に悪影響が及びかねず、FRBが「現実のトレードオフ」に直面することになるという。

市場や経済の救済のために金融緩和を強化すれば、インフレ、長期金利の上昇を助長しかねない。
金利上昇の原因であろうインフレを抑え込もうと引き締めをすれば、なおさら市場や経済は悪影響を受けるだろう。


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