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現金がゴミだから資産価格が上がる:レイ・ダリオ

ブリッジウォーター・アソシエイツのレイ・ダリオ氏が、心折れることなく従前からの予想を繰り返している。


(私の考えは)タイムフレームにもよるが、重要なのは今後数年だと考えている。
3つの大きな力が働いていることを考慮しないといけない。

ダリオ氏がCNBCで、いつものとおり現状認識を説明している。
当サイトでも再三紹介してきたとおり、「3つの力」とは債務・貨幣の増大、貧富・左右の対立、覇権争いだ。
ダリオ氏は、この3つの力に加え、パンデミックが社会・経済を揺るがしているという。

私たちは稼ぐより多く使っており、その一部は必要な社会的再配分のため必須のものだ。
これをすべて税金で賄うことができず、貨幣が増発されている。・・・
だからお金が増え、それでお金の価値が下がる。

ダリオ氏は従前から、経済を一種の機械とみなす見方を披露してきた。
世界で起こっていることを単純かつ理論的なロジックにより理解・解説しようとするものだ。
ここでもその語り口が現れている。

国内で格差問題が拡大すれば、社会が再配分を増やすよう要請する。
しかし、現状はそれを実行するための財源がない。
増税とは目的にかかわらず不人気な政策だ。
そこで政府は借金を増やして再配分に回そうとするが、やりすぎれば政府債務が敬遠され調達コストを押し上げてしまうかもしれない。
債務を多く抱える政府では、予算を組むことさえできなくなる可能性がある。
そこで、中央銀行が国債等を買入れ、財政を支援するという禁じ手が行われる。
国債等は中央銀行というフィルターを通して貨幣に変換される(マネタイゼーション)。
結果、国債等がだぶつくことは避けられる(利回り上昇が避けられる)が、かわりに貨幣がだぶつくリスクが増す。

ダリオ氏は、貨幣がだぶつくことで潜在的な価値の下落が進んでいると主張する。
いつもの決め台詞「現金はゴミだ」と言い添えるのを忘れなかった。

「インフレを補うだけの金利が得られないのが保証されているんだ。
だから、お金についてコストを見ないといけない。」

確かに、現金はもちろん米長期債でも実質利回りは大きくマイナス圏に沈んでいる。
現金保有にはコストがある。
とはいえ、それを「ゴミ」と呼ぶかは、話者の感性にもよるだろう。
(ある人は《ゴミならば、自分が処分してあげるから自分にくれ》と言っていた。)
維持費のかかるマイカーを「ゴミ」という人はおるまい。
だから、このレトリックについてはダリオ氏の趣旨をよく理解し、適宜割り引いて受け取った方がよいだろう。

ダリオ氏は「現金はゴミ」という見方にそって、近年の資産価格の上昇を分析する。

給付金などが配られ、みんな素晴らしい高血糖に酔っているが、それは、現金以外のものが現金との比較で上昇しているということだ。・・・
私たちはインフレを生んでいるが、債務を維持・調達するために、金利をインフレ率未満、名目成長率未満にしなければならない。
だから、現金、お金の価値が下がり、他のものに投資しなければならなくなる。


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