投資

現在はバブルなのか?:ジェレミー・シーゲル
2020年6月24日

ジェレミー・シーゲル教授のBloombergインタビュー第2弾: 現在がバブルか否かについていくつかの観点から語られている。


あれは(2000年)3月だった。
ほぼNASDAQが5,000でピークを打った頃だった。・・・
「大手テクノロジー株はおばかさんの賭け」というタイトルの寄稿をした。

《永遠のブル》ともあだ名されるシーゲル教授だが、ドットコム・バブルの時には正しくバブルを指摘していたのだ。
(これは以前ロバート・シラー教授も証言しているので間違いない。)
シーゲル教授は、自分がブル一辺倒でないと言いたいようだ。
当時を思い返し、「ヘイト・メールをたくさん受け取った」と笑って話している。

ブル一辺倒でないシーゲル教授が、今回はバブルではないのか、何度も遠まわしに尋ねられているので、教授の答を紹介しよう。

リーマン危機前とどう違うのか?

これは単純明快に答えている。

2009-10年をやり直すなら、莫大な金額の過剰な住宅供給を減らさないといけない。
コロナ・ショックの前には何も過剰は存在しなかった。

おそらく世の中には、超低金利を背景として政府債務・企業債務が過剰だったと言いたい人もいるだろう。
シーゲル教授は、それを過剰とは考えていないようだ。

若者が株を買い始めている

シーゲル教授は、こうした若い投資家たちは軽いノリで株を買っているだけと話す。

「スポーツ試合の賭けが閉まっている。
どこに行こうか?
株式市場に行こう。」

といったノリだ。
教授は、こうした投資家の多くが損をした後に去っていくと考えている。
実際、投資家やトレーダーの中にも金額を決めて株式市場でギャンブルを楽しむ例は珍しくないからだ。

ドットコム・バブルとの違い

シーゲル教授は、現状が1999年とはほど遠いと言い切る。
冒頭の寄稿時を回想する。

「インターネット株はもちろんばかげていた。
でも、S&P 500のテクノロジー・セクターは・・・利益を計上し・・・PERが90倍だったんだ。
今は25倍だ。
金利は今よりはるかに高かった。」

冒頭の寄稿は、ドットコム銘柄を忌避しろと書いたものではない。
教授からすれば、それは言うまでもない話だった。
利益どころか売上さえろくに挙げていないようなドットコム銘柄は投資対象にはなりえないからだ。
冒頭の寄稿は、IBMやマイクロソフトを買うなという警告だった。

現在と1999年を並べようとする人はみんなバリュエーションを見ていない。

当時IBMのPERは50倍、今は12倍だ。
IBMが変容したとはいえ、確かにバブル感はまったく感じられない。

CAPEレシオは誤ったシグナルを出している

シーゲル教授は、旧友ロバート・シラー教授に敬意を示しつつ、シラーのCAPEレシオの問題点を指摘している。
(シーゲル教授はMITの博士課程でシラー教授の1学年上。)
会計基準の変更や利益水準の波のため、誤った売買シグナルを発してしまうという。

特にリーマン危機での利益急減のために、1990年以降一貫して弱気シグナルを出し続けている。・・・
だから、CAPEが素晴らしいツールだとは思わない。
しかし、バリュエーションは重要だ。
私は、私が正常な利益と考えるものを注視し(それに基づく)PERを注視する。

もっとも、CAPEレシオは売買シグナルではない。
シラー教授は、レシオが高い時でも、さらに上昇する可能性がある、と必ず言い添える。

シーゲル教授は主観的な「正常な利益」を用い、シラー教授は客観的な10年平均を用いる。
これは、投資家としての選択の問題だろう。

本当に永遠のブルでないのか?

シーゲル教授は、実体経済と株式市場の乖離とされることにもコメントしている。
いまだ回復とは言えない雇用についてはこう話している。

率直にそれには興味がない。
すべての入ってくるデータはバックミラーだ。

株価とは将来から導き出される価値だから、過去のデータを見ても役立たないとの指摘だ。
これは、理論的に正しい。
一方、過去最大の増加幅を記録した5月の米小売売上高へのコメントはこうだ。

今日の小売売上高の上昇には驚いた。
4月の底から大きな上昇だ。
これが示唆するのは、人々が外出したいと望んでいることだ。

なぜ、小売売上高はバックミラーではないのか。
これについてはバックミラーに映ったものから車前方を予想している。
つまり、シーゲル教授には意識してか無意識かわからないが、強気の材料を拾おうとするフィルターが備わっているのであろう。
問題は、そのフィルターの正確さだ。
それは聞き手が自ら判断するしかないということ。
ドットコム・バブルの崩壊時になぞらえるなら、教授がNoと言った時には逃げるには遅すぎる可能性があるということだろう。


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