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現在はサイクルの6回:ジェレミー・シーゲル
2021年5月10日

ウォートンの魔術師ジェレミー・シーゲル教授が、先月初旬に野球にたとえて3回と話していたサイクルの進展度合いを6回に進めている。


「この小さい数字に対する私の解釈は、企業が人を雇うのがとても難しいということ。
労働力に対する需要がないわけではない。」

シーゲル教授がCNBCで、7日発表の4月雇用統計についてコメントした。
4月雇用統計では非農業部門雇用者数が266千人増と、市場予想の1百万人増を大きく下回った。
しかし、教授は、これが米経済の弱さを示すものではないという。

「失業保険が求職を遠ざける影響を及ぼすことはないという大統領の考えには反対だ。
賃金の数字を見ると・・・0.7%は大きな増加であり、過去最大レベルだ。
それでも十分な労働者を獲得できない。」

4月の平均時給は前月比で0.7%増と大幅上昇、労働時間の増加も高水準だ。
シーゲル教授は、労働力への需要が高いのに雇用が増えない理由を、パンデミック以降続く手厚い失業給付にあると考えている。
失業者が手厚く守られていることで、彼らの労働参加への意欲が鈍っているとの見方だ。
この結果、雇用の回復は鈍いのに賃金や物価が上昇しやすい環境が醸成されている。

私たちは、たぶん6回に差し掛かったところだ。

シーゲル教授は、野球にたとえて現在がサイクルの6/9のところであると話した。
4月上旬には3回と話していたから、1月ほどでずいぶん進んだことになる。
昨年3月下旬を底と考え、そこからサイクルをスタートしたと見るなら、3回までにわずか1年。
さらに3回が進み6回となるまでわずか1か月の計算となる。

シーゲル教授の時計の進みが加速したように見えるのは何が原因だろう。
どうやらインフレ動向が1つのようだ。
教授は5-6月には、異例の規模の金融・財政政策が引き起こすインフレが顕在化すると話している。
そして、このインフレこそ伝統的に米経済・市場に大きなブレーキを踏む原因となってきたものだ。
シーゲル教授は「審判の日」は不可避と認めている。

最終的には株式に悪影響が及ぶだろう。
しかし、今回の雇用統計は『審判の日』を遅らせると考えている。
FRBに、この拡張的政策を長期化する理由を与えた。
将来、審判の日が訪れるのは間違いない。

おそらく「審判の日」とは9回が終わる時なのだろう。
シーゲル教授は、その日までまだ間があると考え、そこに至るまでのシナリオを語っている。
年後半、FRBは「巻き戻す」(おそらくテーパリング、またはその示唆のことだろう)とし、市場が「ざわめく」という。
恐怖を感じた投資家は、どこに投資すべきか模索し、結局リスク資産の一部に向かうという。

私は今後3-4年で累積で20%のインフレが起こると信じている。
3-4年後には物価は今より20%上昇しているだろう。
株価、賃金、消費者物価が上昇するだろう。
債券は最悪の投資先になる。
実物資産が最良の投資先になる。

4年で20%としても年平均4.6%のインフレをシーゲル教授は予想していることになる。
これは、コンセンサスと比べてかなり高いインフレ予想であり、実現するなら債券投資にとって悪夢の時となるだろう。
ただし、この水準は物価目標の上振れと呼ぶには高すぎるだろうから、FRBが3-4年放置するかは疑問だ。
放置しなければ、その時に「審判の日」が来る可能性が高い。

当面のファクター/セクター戦略については、シーゲル教授は引き続き経済再開の恩恵を受けるセグメントを奨めている。

私はそこ(景気敏感・シクリカル)に留まるつもりだ。
さらにテクノロジーが少しリバウンドするだろう。
利回りが上昇したのが下落して一息ついたためだが、一時的なものだろう。


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