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現在とても重要な投資の観点:ブリッジウォーター
2020年10月27日

ブリッジウォーター・アソシエイツでレイ・ダリオ氏らと共同CIOを務めるボブ・プリンス氏が、現在の相場を見る上での大局観を説明し、投資家が取り入れるべき視点を提案している。


それはそんなにたいしたことじゃないんだ。

プリンス氏がBloombergから、今後2週間、つまり大統領選挙までの重要ポイントを問われて答えた。
大統領選挙より、はるかに大きな大局観の方が重要との含意である。

第1類型は金利が駆動する金融政策で、ゼロ金利のところで終わった。
次に量的緩和が駆動する金融政策で、これはリスク・プレミアムが大きく流動性が引き締まった時には有効だったが、もうそういう状況じゃない。
そこで私たちが金融政策3(MP3)と呼ぶ、金融政策と財政政策との組み合わせが採られている。

MP3とは以前からレイ・ダリオ氏が予想してきたMMT的な金融・財政政策の協調のことだ。
この予想は、奇しくもコロナ・ショックによって、誰もが否定できない明確な形で実現してしまった。
MMT的なフォーメーションでは主役は財政政策(政府と政治家)となり、中央銀行はマネタイゼーションで財政を支援するだけの脇役になる。
これまで各国が過度ともいえるほど金融政策に依存していた時代とは様変わりだ。

プリンス氏は、この状況が「新たな世界」であること、そこにはリスクが生じることを認識すべきと述べた。
一方で、短期的にはMP3が市場を後押しすると予想している。

米国や世界中で春・夏に大規模な刺激策が講じられた。
あらゆるところで現金・銀行口座の大幅な増大があり、今もまだその後効果が残っている。
貯蓄率は大きく上昇した。
これら政策からまだ潜在的に需要が勢いづく可能性がある。

積み上がった現預金はまだ支出を待っている段階だ。
これがまだ経済・市場をふかす余地があるとし、誰が大統領になっても、この状況は変わらない。
だから、プリンス氏は、大統領選よりMP3を重要視しているのだ。

プリンス氏は、今回のコロナ・ショックを「極めて特殊な停滞」と捉えている。
それを理解するには、通常の停滞が何かを理解する必要がある。
プリンス氏によれば、通常の停滞はサイクル終期に起こり

  • 所得: 停滞期の最後に落ちる
  • 金利: 金利は上昇し、信用が減少している

のだという。
ところがコロナ・ショックはサイクル終期に起こった停滞ではない。
ウィルスによってサイクルの途中で不意打ちを食らっている。
所得はショックの最初に落ち込み、金利はゼロだった。

「普通は停滞に入るときには金利が上昇し信用が減少するものだ。
それが利下げ余地を与え、信用拡大を促すことで、停滞からの脱出が可能になる。・・・
(停滞前から)ゼロ金利であり、人々がソーシャルディスタンスにより失った所得を補うために停滞を通して債務を積み上げてきた。・・・
これはコロナ後の世界の潜在成長率を厳しく制限し、主たる刺激策として財政政策に重点が置かれ続けることになる。」

では、この状況が永遠に持続可能なのか。
低成長であっても、財政政策で細々とつないでいけるものなのか。
もちろん、財政政策にもどこかに限度があるはずだ。

プリンス氏は、終わりの始まりをこう予想する。

いつか政府債務が過大に、貨幣増発が過大になり、その時点で為替レートにプレッシャーが加わることになる。

では、投資家はどう対処すべきなのか。
短期は別として、長期でどう臨むべきなのか。

プリンス氏は、投資家の多くが西洋中心的な見方をする点を心配する。

「東洋は全然違う。
中国だけでなく、多くの東洋の国々ではウィルスをはるかにうまく制御し、財政赤字を膨張させたり貨幣増発したりすることなく済んでいる。
今では、私たちの中国オフィスではみんなマスクなしで隣り合って座っている。
米国ではまだ家にいるのに。」

仮に中国でコロナ対策が成功しているとしても、マスクはした方がいいと思う。
それはともかく、コロナ・ショックの深刻度が国によって大きく異なることは間違いない。

プリンス氏は、コロナ対策に成功している多くの国で経済・市場が正常に近い状態まで回復していると指摘する。
投資にはそれを勘案すべきという。
これはブリッジウォーターの最近の中国推しのスタンスとも一致する。

つまり、東西で経済的に大きな乖離が生じている。
投資家は、解決困難な問題を抱える西洋に完全に集中すべきでない。
地理的分散は特に現在、とても重要な投資の要素になっている。

プリンス氏はこの後、地理的乖離だけでなくセクター別の乖離も拡大していると論じている。


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