渡辺努教授:もはやGDPは使えない

東京大学の渡辺努教授が、政治・経済で重視されているGDPという尺度について有効性が薄れていると指摘している。
無料のサービス等が有料の財・サービスを置き換える中で、GDPが少なくない経済活動を取り込み損ねているという指摘だ。


IT技術の進歩で私たちの生活が変わってきており便利にもなっている。
一方でGDPで測った経済成長率は他国も含めて停滞しており、長期停滞というような考えも出ている。
便利になった感じがあるのに長期停滞とは変な感じがする。

渡辺教授がテレビ東京でGDPの指標としての有用性が低下しているのではないかと問題提起している。
番組では、GDPが取り込み損ねている可能性のある2つの典型例を挙げて説明している。


  • ウィキペディア: インターネット上の無料サービスの普及とともに、有料の百科事典の売上が低下した。
  • 画像系SNS: 写真をクラウドに保管して閲覧するスタイルが普及し、DPEサービスの売上が低下した。

こうした変化にともなう付加価値の減少分がGDPを下振れさせているというのだ。
GDPは基本的に有料の財・サービスしか計測しない。
この性質と社会の変化がGDPの有用性を低下させている。

ズレるGDP

では、GDPはどれほどズレてしまったのか。
渡辺教授はGoogleを例としたある研究を紹介する。

「例えばある研究によれば、Googleは(2011年)年間で約360億ドルの広告収入があった。
Googleが生み出している効用は1,500億ドルと推計された。」

つまり、Googleは本来なら1,500億ドルの効用分を社会に与えているが、そのうち広告収入に計上されたのは約360億ドルにすぎないというのだ。
さらにGDPに算入される付加価値となると広告収入の一部にすぎないから、GDPで補足されているのはほんのわずかでしかない。
(他にも検索履歴を利用したサービスなどもあるが、結論は変わるまい。)

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