浜田宏一教授:2%のインフレは人々の生活を貧しくする

内閣官房参与 浜田宏一イェール大学教授が、物価目標に拘泥する中央銀行の姿勢に疑問を呈している。
物価上昇は人々の生活を苦しめる面もあり、物価目標だけでなく悲惨指数なども重視すべきと説いている。


普通の人の福祉の話になれば、物価目標達成は必ずしも最善の選択肢ではない。
・・・
目標に満たないインフレを2%に引き上げることは人々の生活を貧しくする。
継続的に貯蓄の価値を減少させることで、人々の繁栄を損なう。

浜田教授は、物価目標が「普通の人々」にとって災難となりうることをProject Syndicateで認めている。
教授が「貯蓄」と書いたのは、「普通の人々」の少額預金や年金などであろう。
預金・債券の利回りを押し下げる金融緩和でインフレを上昇させれば、そうした資産の実質ベースの価値は減少する。
結果、「普通の人々」を貧しくすると指摘している。

付け加えるなら、賃金が十分に上がらないための実質賃金低下も大きな要因だ。
こちらについての言及がないところを見ると、教授は実質賃金がいつか安定的に上昇するようになると考えているのであろう。


インフレ上昇は生活を悲惨にする

浜田教授はインフレ目標も重要だとしながら、Arthur Okunが提唱した悲惨指数もまた重要だと唱えている。
平均的な市民の生活ぶりを指し示すこの指数は、季節調整済み失業率とインフレ率の和で表される。
現在の各国の金融緩和は、失業率を下げインフレ率を上げることを目標としている。
金融緩和は悲惨指数の上げ要因にも下げ要因にもなりうる。

「現実には、物価目標は完全雇用とGDP成長率改善を促すための目標であって、物価のための物価目標ではない。」

浜田教授は、自身が物価目標至上主義ではないことを明確に述べている。
アベノミクスは相応の成果を上げ、本来の目標に向けて進展が見られているのだから、物価目標の達成いかんにかかわらず良しとすべしという考えだ。

期待にしばられ目標を下ろせない

この考え方は広く受け入れられる考え方だが、依然、リフレ派への批判は強い。
日銀が2%の物価目標を(非現実的な達成時期を示しつつ)堅持しているからだ。

浜田教授は、金融当局のある人物との会話を明かす。

「直接的な答を返すのではなく、彼は『トリッキーな話だ』と答えた。
ついには、どんなに失業率が低くなろうが、物価目標は目指さなければならないと話した。」

(次ページ: 合理的期待への信仰)


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