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ハワード・マークス 流動性、無リスク、6.5%だった:ハワード・マークス
2020年1月28日

ハワード・マークス氏の投資教育のための対談の第3弾:マイナス金利の意味、政府・中央銀行の意図について語られている。


「マイナス金利とは信じられないほど神秘的だ。・・・
どうして生まれたのか、どう対処すべきか、米国にも起こるのか、私にはわからない。」

マークス氏が対談で、マイナス金利・超低金利についてコメントした。

マークス氏は、金利が急低下した時のことを回想する。
2008年10月、リーマン危機の直後のことだ。
当時、同氏は個人資産のすべてを米国債に投資していたのだという。
残存期間を1年、2年、3年、4年、5年、6年とずらし、いわゆるラダー・ポートフォリオを組んでいた。
償還が来ると、再び6年ものに再投資することで、このラダーはずっと続いていくはずだったのだという。

「最ものろまな投資のやり方だ。
常にある程度の流動性が保たれ、リスクなしに6.5%の金利が得られ、私はとても満足していた。
流動性、無リスク、6.5%だ。」

6.5%とはまさに隔世の感がある。
前回の弱気相場の前まで、米国債の利回りはそんな水準にあったのだ。
これは、日本人がバブルの頃を回想しても同様に抱く感覚である。

さて、2008年10月マークス氏はいつものように証券会社から再投資を奨める電話を受けたのだという。

「証券会社が電話してきて『6.5%の債券が木曜日に償還になり、5/8%の債券に投資できます』と言った。
私は『何+5/8%なの?』と尋ねると『いやいや、ただの5/8%です』と答えた。」

それまで6%を超える帯分数だったものが、帯分数でもなくなってしまったのだ。
実に6%近く下落したことになる。
マークス氏は率直に、当時の驚きを紹介する。

「私は無リスクの投資をやっており、6.5%の金利を受け取りつつ、私のお金を保蔵していた。
これは当たり前のことではないのか?」

マークス氏はマイナス金利について「お金を安全に保蔵するために支払わなければいけない」状態と描写する。
その意味で「幾分は筋が通っている」と認める。
安全な保管のためにコストがかかるのは珍しいことではない。
しかし、お金の場合は事情が異なるはずだ。
預けた相手がそのお金を運用することで、保管料を超える運用収入があるのがかつての常識だった。

マークス氏は、ほとんどの人がマイナス金利を逃れるために他の選択肢を探すはずと言う。

選択肢はある。
しかし、もちろんその選択肢は、そのお金にリスク曲線(リスク/リターンのトレードオフ曲線)からの逸脱を強いるだろう。

リスク曲線に乗っている投資とは、投資家がとっているリスクに対してフェアなリターンが与えられる投資と解釈できる。
そこから逸脱するとは、リスクに対してフェアなリターンが与えられない投資を意味する。
金融緩和によって投資家は不利なオッズでの戦いを強いられている。

それこそが当局が12年前に達成しようとしていたことであり、それが成功したんだ。
それがまた起こるのだろう。

金融緩和はもちろん重要な政策ツールであり、多少の副作用があろうと否定されるべきものではない。
しかし、程度が強すぎたり、期間が長すぎたりすれば、経済の一部を固定的に狙い撃ちし打撃を与えるような政策になってしまう。


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