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波乱の米雇用統計でFRB現状維持はさらに長く

7日発表の4月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が266千人増と、市場予想の1百万人増を大きく下回った。
ブラックロックのリック・リーダー氏、アリアンツのモハメド・エラリアン氏のコメントを聞いておこう。


たくさんの人がこの数字を見て多くの誤差の要因があると言うだろう。
しかし、FRBが現状維持するのだから、顧客との電話で毎回聴く(経済)過熱のナラティブは持続し続けることになる。

リーダー氏がBloombergで、4月の雇用統計についてコメントした。

4月の非農業部門雇用者数の市場予想に対する乖離もすごいが、3月の数字の修正もすごい。
当初916千人増だったものが770千人増に下方修正されている。
おそらくたくさんの原因があって、数字が大きくぶれやすくなっているのだろう。
つまり、これを精緻に議論するのには無理があるということだ。

ただし、3月が下方修正されたのも、4月が予想を大きく下回ったのも事実だ。
これは何かしらの意味のあることだろう。

雇用統計が示唆するのは、FRBの現状維持が長くなるということ。
率直に言って、それが必要とは思わない。
イールドカーブの短期側でシステムに大量の流動性供給することは雇用に何の関係もないだろう。

リーダー氏のFRB批判が段々開けっ広げになってきた。
最近、同氏は短期金融市場の過剰流動性が市場を過熱させているとの懸念を述べている。
短期側に限定してFRBが資金吸収を行うべきと言っていた。
一方、今回の雇用統計はその逆の圧力を強めるものだろう。
リーダー氏は、FRBが金融政策正常化に後ろ向きだとし、今後も「加熱の力学、インフレ加速の力学」が継続すると予想した。

「実質金利をあまりにも低く抑えすぎているために、現在フィクストインカム市場における質の高い資産へのビッドがばからしいほど高くなっている。
銀行はどこかに再流通させなければいけない預金を莫大な額受け入れている。
この(雇用統計の)数字でFRBが政策を変えるかどうかわからないが、政策のもたらす恩恵は不確か・・・、価値のないものと確信している。」

エラリアン氏は同じBloomberg番組で、米経済のスムーズな回復を実現する上で、経済のどこを後押しすべきかを論じている。

供給側(の重要性)を信じ、FRBが(供給側について)やれることは多くないと認識するなら、経済を過熱させることは供給側において全く助けにならない。
需要側の助けにはなるが、供給側の助けにはならない。
でも、問題は供給側にある。

すでにお金は相当な金額人々の手に渡っている。
みんな使いたくてうずうずしている。
つまり、主たる問題は需要側ではないと言いたいのだ。
問題は、大きな潜在需要を満たすだけの供給能力を実現できるかだ。

エラリアン氏も、雇用統計を受けて、FRBが現状維持を続けることになると予想した。
FRBは即刻テイパリングを開始すべきかとの問に対して、FRBが政策の正常化を遅らせることで起こりうる2つの懸念事項を語っている。

現状の問題は需要側でなく供給側にあると思う。
私は、金融不安定を心配し、インフレ期待のアンカーが外れることを心配している。
だからYesだ。


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