河野龍太郎氏:イノベーションが需要の伸びを阻害する

執筆:

BNPパリバの河野龍太郎氏が、迷路に迷い込んだ世界経済の構図を解説している。
2つの大きなメッセージが込められた同氏のコラムを2回に分けて読み解いてみよう。

日本人なら誰しも子供の頃にドラえもんを見て楽しんだろう。
私たちが思い描くロボットとはドラえもんのように人間生活を豊かにしてくれるものだった。


1969年に発表されたこの作品で、主人公のび太は小学4年生。
2017年の今、のび太は58歳になっている。
孫がいる年齢だ。
未来からドラえもんをのび太のもとに送ったのは、のび太の玄孫(孫の孫)のセワシ。
セワシの時代はあと40-50年で訪れるのだろう。

視聴者のイメージしてきた未来は、セワシがドラえもんやドラミちゃんの世話を受け幸せに暮らしているというもの。
ところが、その裏にはとんでもない秘密が隠されていたとしたら。
ドラえもんやドラミちゃんは独占企業から法外な値段でリースされていたのだ。
しかも、リース料には出来高部分があり、ドラえもんやドラミちゃんが供与した効用はリース料にオンされていた。
セワシの両親が共稼ぎだったのは、法外なリース料をなんとか払うためだったのだ。
リース料と最小限の生活費を引いたら、セワシ家には何も残らなかった。


濡れ手に粟のリース料は独占企業とその株主・経営者、特許権者に配分されるだけだとすれば・・・

イノベーションが経済を停滞させる

従来の長期停滞論では、イノベーションの枯渇によって、自然利子率が低下しているというのが支配的な主張だった。
だがデジタル革命によって、支出性向の低い一部の経済主体に所得の増加が集中し、平均的な労働者の所得増につながっていないため、自然利子率が低下する可能性がある。

河野氏がReutersへの寄稿で書いている。
ローレンス・サマーズ元財務長官が80年ぶりに掘り起こした長期停滞論。
長期停滞の脱出にはイノベーション等がもたらす生産性向上が効果的だと言われ、生産性向上は今や万国共通の国家的テーマとなっている。
ところが、生産性向上の有望な源泉であるイノベーションこそが長期停滞の源泉であるかもしれないと河野氏は示唆している。

(次ページ: 実現しない好循環)


ページ: (1) (2) (3)

 - 海外経済, 国内経済 ,