日本銀行

 

河村小百合氏:量的緩和の行きと帰りは一体のもの

忍び寄る逆ザヤの影

再投資の停止でゆっくり縮小を図っても、それでも金利は上がるだろう。
市中に流通する米国債やMBSが増えるのだから、金利上昇圧力は避けられない。
金利が上昇すると、FRBは市中銀行から預かる超過準備への付利を引き上げざるをえない。
付利を低いままにすれば、市中銀行は超過準備を引き上げ、より利回りの高い投融資に回すことになるからだ。
結果、マネー・サプライは急拡大を始め、経済は過熱し、インフレは昂進するだろう。
だから付利は上げざるを得ない。
(預金準備率引き上げという可能性もあるが、この場合、過酷な銀行課税となるため金融の安定が損なわれかねず、尖鋭な論争が起こるだろう。)


先ほど、準備預金はFRBの負債であると述べた。
付利引上げとは、FRBが自ら調達金利を引き上げるに等しい。
市場金利が上昇するとFRBは自身の調達金利を上昇させざるをえないのだ。
一方、低金利時代に買い入れた保有資産は利回りが低い。
結果、FRBの損益は悪化し、場合によっては国庫納付金が大きく減少する可能性がある。
これは事実上の国民負担の発生であるが、FRBはこの点もきちんと説明をしてきた。
河村氏はその果実をこう説明する。

「米国では誰も、経済回復と正常化の進展に伴う市場金利の上昇を恐れてなどいないのだ。」

もちろん実際にBS正常化に着手すれば山あり谷ありの展開になるかもしれない。
しかし、官民での意識のすり合わせができているから、不要な恐怖・混乱は小さくなっているのだろう。

自ら踏み込んだ深み

河村氏は、日銀の置かれた状況がFRBのそれよりはるかに厳しいと指摘する。


  • BSの規模が極端に大きい
  • 保有資産の利回りが(昨年9月で)0.3%と極端に低い

日銀が自ら異次元緩和を選んだ以上、こうした厳しい状況も自らが選択したものと言わざるをえない。
その中で日銀は、FRBの真摯な姿勢とは真逆の対応をとっている。
《出口戦略》の議論を避け、頑なに説明を拒んでいる。
自分の仕事は「往路」だけで、少々の手柄だけいただいて「復路」は後任に任せようとでも思っているのだろうか。
民間出身の議員の中には独自の試算を明らかにする人もいるが、残念なことにそうした意見が政策に反映されているようには見えない。
もちろん、こっそり内内ではやっているのだろうから、いうなれば日銀のサプライズ症候群は治っていないということかもしれない。
そうならば、せめてもの救いだが、それが国民・市場と共有されないのでは、無用の恐怖・混乱を増やしかねない。

河村氏は

「このままでは、いずれ来る『出口』局面で日銀や日本経済を待ち受けるリスクはさらに大きくなる。」

と危機感を募らせている。


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