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決して返済されることのない金融資産:レイ・ダリオ
2021年10月1日

ブリッジウォーター・アソシエイツのレイ・ダリオ氏が、この先インフレになるかデフレになるか、信念ともいえる予想を語っている。
先月15日のインタビューだが、同氏の思考回路が垣間見える発言なので傾聴しておこう。


「現在は極めて速い進歩が起こっている時代だ。
この政治的難しさのある環境において、もしもうまく扱うことができれば、その進歩は生産性を上昇させる。
生産性に転化するなら、それがデフレ的な力を生むことになる。」

ダリオ氏がCNBCのインタビューで、物価に加わる2つの力について説明している。
デフレ圧力になる力の代表として、同氏は技術革新による生産性上昇を挙げた。
技術革新も生産性上昇も人類にとって前進であり前向きに捉えるべきだが、同時に少々厄介な副作用も存在する。

同時に現在の世界は誰もそうした資産の恩恵を受けられない時代でもある。
だから債務のマネタイゼーションが行われることになる。

世の中の現実をいえば、生産性上昇の恩恵を受けるのは専ら資本家や経営者層だ。
労働者に至っては、運が悪ければ職を失うことになりかねない。
こうして拡大する格差問題に対処するため、政府は金融・財政刺激策や再分配を強化せざるをえなくなる。
政府の借金が増えれば、中央銀行がマネタイゼーションで支援することになる。

お金や信用よりも供給を早く増加させる手段はない。・・・
金融資産の価値が大きく上昇している。・・・
あなたの純資産のどれだけが金融資産であり、どれだけが住宅など実際のモノなのか。

お金が増え、借金(投資家からすれば債権という資産)がどんどん増えている。
金融資産の価格が上昇すれば、さらに世界の金融資産の総額は膨張する。

ダリオ氏は、お金や金融資産と私たちの生活に必要な財・サービスのバランスが大きく崩れている点を指摘する。

「あまりにも多くのお金が、決して返済されることのない金融資産になっている。
金融資産の規模を考えると、金融資産とは財・サービスを買うための請求権にすぎないので、仮に買わないなら無価値になってしまう。
莫大な金額が存在し、それにどう対処するかといえば、貨幣増発で対処せざるをえない。」

お金や金融資産がどれだけあろうが、その最終的な目的である財・サービスがそんなにたくさん存在しない。
あるいは、そんなにたくさんの財・サービスが(多くの国・地域で)必要とされていないだろう。
ならば、だぶついたお金や金融資産は存在の意義を失ってしまう。
しかし、みんながそれに気づけば価値が下がってしまうから、中央銀行は買い支えようとする。
それがさらにお金を増やし、間接的に金融資産の膨張を後押しするのだろう。
バランスはさらに不釣り合いになり、インフレ的な力になる。
貨幣数量説に似た推論だ。

ダリオ氏は、従来通り、これら2つの力の大小について相当な自信をもって予想している。

だから2つの力が存在し、私は金融資産にかかわる力の方が勝ると考えている。
金融資産は単純に多すぎるために、世界全体で見て、財やサービスに変えることができない。


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