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永久債を発行せよ:ジョージ・ソロス

ジョージ・ソロス氏がEU加盟各国に永久債を発行するよう示唆している。


過去幾度もEUが永久債を発行するのが望ましいと書いてきた。
しかし、今日は各加盟国が永久債を発行することを提案する。

ソロス氏がProject Syndicateで書いている。
永久債とは償還期限を持たない債券のこと。
クーポンの支払いはあるが、元本償還はなく、債券は(特段の定めや買入れ償却がない限り)永久に存在し続ける。
歴史的な低金利水準の中で、固定金利で安定的に資金を調達することができるメリットがある。

そもそもの資金調達の目的はもちろんコロナウィルス対策にある。
しかし、EUが用意しようとする復興基金にはハンガリーとポーランドの反発が強い。
「オルバーン・ヴィクトル ハンガリー首相は、EUの新たな法の支配条項が彼の個人的・政治的腐敗に実質的な制限を課すことを心配している」からだという。
先月16日の採択では両国が拒否権を発動している。
また「倹約な5か国」(オーストリア、デンマーク、フィンランド、オランダ、スウェーデン)は「もっとお金を貯めることの方に興味がある」という。
つまり、EUには期待できない。

ソロス氏はこれまで、EUとしての永久債発行を提案してきたが、ここにきて加盟各国が個々に発行する提案に変えてきた。
さらに「強化された協力手続」に基づき、EUの一部の国の間で協力をするというアイデアのようだ。
たとえば、永久債を発行している国が、財政問題を抱えるイタリアによる発行を保証してくれるようなことがあれば、「すばらしい連帯のポーズ」になるという。

永久債発行にメリットがあることは間違いない。
経済・市場がさらにおかしくなって、マイナス金利が常態になるのでなければ、債務者にとっては長期固定のよい調達手段となりうる。
(もちろん発行条件次第だ。)
ただし、ソロス氏が永久債発行を促す理由には、ここには語られていない構想もあるのかもしれない。
穿った見方をすれば、発行された永久債の行き先についてアイデアがあるのではないか。
多くの読者がすでに気づいているように、中央銀行が有力な候補の1つとなる。
仮に政府が永久債を発行し、中央銀行が律儀に買い集めるようになれば、ほぼ完全なマネタリー・ファイナンスのスキームができあがる。
それが大した話ではないのか、何らかの意味を持つのか、注意して聞いておかなければならない。


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