オークツリー・キャピタルのハワード・マークス氏が、投資判断の妨げになる人間の本性について解説し、その回避のしかたを教えている。
人間の心理というものは、私たちに間違った時に間違ったことをさせようとする。
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言い換えると、人間の本性とは『高く買って安く売る』ものなんだ。
マークス氏がKing’s Business Schoolのインタビューで、投資の邪魔になる人間の自然な心理について解説した。
高値で買って安値で売れば、どんな商売でも成り立たないだろう。
マークス氏は、オークツリーにおいて「逆張り主義」を重要な価値観の1つに位置付けていると話している。
多くの人たちの逆をやれということだ。
なぜなら、人間は感情に流され、間違ったことをしてしまうものだからだ。
「物事が長くうまくいっていて、資産価格が高く上昇し、みんなが儲け、みんながプロセスに満足していると、人々は陶酔感のために高値掴みしやすくなる。
逆に、長い間物事がうまくいかず、みんなが損し、みんなが塞ぎ込み、落ち込んでいると、みんなものを売ろうとする傾向になる。」
これが投資家を『高く買って安く売る』過ちに引きずりこむ。
もちろんあらゆる商売の基本『安く買って高く売る』とは真逆の行動だ。
これが人間本来の自然な心理だとし、だからこそ逆張り主義にならないといけないと説く。
しかし、ここでマークス氏は当たり前のことを言う。
ここで重要なのは、他の人と逆をやるのが成功の方程式とは考えないことだ。
みんながAをやっているから自分はBをやる、では十分ではない。
当然ながら、逆ならば何でも正解というわけではない。
難しい局面でないならば、多くの人は正しい行動をとっているものだ。
そういう正しい行動にまで逆張りをすれば、失敗は保証されている。
これと同様の趣旨から、先日ジム・ロジャーズ氏は「自分は逆張り投資家ではない」と言っていた。
逆張りではなく、独立した判断に基づき投資行動を行っているとの趣旨だ。
マークス氏は、この落とし穴を避けるための自問の方法を明かした。
『みんなAをやっている。
どうしてやっているんだ?
Aをやるのは何が間違っているのか?
みんなは何をやるべきなのか?』
この自問は、特に難しい局面で威力を発揮すると語っている。
「骨の売れる手順だが、極端な局面、他の人たちが高値で陶酔したり安値で落ち込んだりしている場合に、逆張り投資家であることは重要だ。」