ジム・ロジャーズ氏が、過去の投資の失敗談を打ち明け、投資スタイルのあり方について寛容な見方を示している。
いつもリスクが存在し、すべての可能性について考えておかなければいけない。・・・
特に間違った時、想定と異なることが起こった時のために準備することが必要だ。
ロジャーズ氏が英OPTOのインタビューで話した。
仮に自分が正しい予想・戦略に基づいて投資を行っているとの自信があっても、もしもの時の備えが不要になるわけではないという。
ロジャーズ氏は、人生で起こった2つの失敗を話している。
キャリア初期の6つの株式のショート
ロジャーズ氏はキャリアのはじめ、6銘柄の株式をショートしたことがあったという。
その直前、市場の上昇を予想し、そのとおり大きな上昇となり大成功しており、今度は反落を予想したものだった。
結果は2か月のうちにすべてを失ったのだという。
ロジャーズ氏は理由を2つ挙げる。
- 市場をよく理解していなかった。
- 自分が知っていることぐらいみんな知っていると思い込んでいた。
ロジャーズ氏はすべて持っていかれたが、弱気相場の中、2年後までにこの6社はすべて倒産したのだという。
つまり、ロジャーズ氏は早すぎた。
しかし、市場参加者の多くは弱気相場が早々と終わったと読み違えた。
その読み違えが効いている間にロジャーズ氏はすべてを失ったのだ。
1980年の原油ショート
ロジャーズ氏は1980年に原油をショートしたが、不運なことに、その翌週にイラン・イラク戦争が始まったのだという。
目先、原油は下がらないだろうから、ロジャーズ氏はポジションを閉じたのだという。
「あらゆることが起こりうる。
何かおかしなことが起こることも想定しておくことだ。」
ただし、結果論でいえば、この時はポジションを閉じる必要はなかったのだという。
ロジャーズ氏がこのポジションをとった根拠は「原油はだぶつき1970年代がバブルだったというものだったため」。
原油価格は一時的には上昇したものの、結局ロジャーズ氏の予想どおりとなった。
私は自分の投資について何が起こっているか知りすぎないようにしており、知りたくもない。
知れば混乱しかねない。
市場で起こっていることで心が乱されてしまう。
この2つの例は興味深い問いを投げかけてくる。
ファンダメンタリストの投資家がきちんと分析し決断したポジションについて、予想外のことが起こったらどうすべきなのか。
6銘柄の株のケースは、ポジションを閉じるのが遅れて失敗している。
原油のケースは、信念が足りずにリターンを取り逃がしている。
後者を責める人は少ないだろうが、前者については意見が分かれるかもしれない。
自分のやり方でやればいい
クォンタム・ファンドでは、ジョージ・ソロス氏がトレーダー、ロジャーズ氏がアナリストの役割だったといわれるから、ロジャーズ氏がファンダメンタルズにこだわるのも合点がいく。
今ではロジャーズ氏はあまりショートすることもなくなった。
それでも、ショート・セラー、短期トレーダー、ファンダメンタルズを見ない人たちにも寛容な姿勢を見せる。
「毎日売買し、何をやっているかもほとんど理解していない。
気にしないし、気にする必要もない。
みんな自分のスタイルを持てばいいんだ。」
口ぶりからして、決して皮肉をいっているようには聞こえない。
みんな納得のいくやり方でやればいいと心から思っているようだ。
ただし、自分自身のやり方については強いこだわりを持っているようだ。
私が見つけたのは、何か安いモノで変化が起こっているモノを何年も保有することだ。
私は怠け者だ。
買ったり売ったり飛び込んだり飛び出したりするのは大変な仕事だ。
ロジャーズ氏は、よく調べ考えることで成功の確率が上がっていくと考えている。