海外経済

次の景気後退は1937-38年に似たものになりうる:ロバート・シラー
2019年10月5日

ロバート・シラー教授が昨日発表の米雇用統計へのコメントの中で、現在が1937-38年に似たものになりうると話している。


ヘッドラインの失業率は、失業率の低さを示すような信頼感を強める重要な要因になるものだった。
トランプの経済面での成功を批判するのは難しいように思う。

シラー教授がCNBCで、9月の雇用統計が人々の心理に与える影響を解説した。
米労働省が4日発表した9月の雇用統計は

  • 非農業部門雇用者数(前月比)136千人増(市場予想145千人)
  • 失業率 3.5%(前月から0.2%ポイント低下、1969年以来の低水準)
  • 平均時給(前年同月比)2.9%増(8月は3.2%増)

だった。
半世紀ぶりの低い失業率について、トランプ大統領は自身の手柄のようにツイートし、弾劾調査を進める民主党を挑発している。

シラー教授は、自身の好き嫌いを別として、人間をスクウェアに見つめる学者だ。
それが、一部の狭量な学者とは異なる。
シラー教授がトランプ大統領を望ましく思っていないのは明らかだが、すべてを否定するわけではない。
ただし、手放しで褒めるわけでもない。
トランプ大統領は50年来の低い失業率を自慢して見せたが、シラー教授によれば、失業率を遠い昔と比べるのは適切でないかもしれないという。
失業率は求職の意思に依存し、これは職業観に依存し、職業観には50年の間に大きな変化が起こっているためだ。
シラー教授は、今回の雇用時計が玉虫色の結果であると結論している。

雇用統計では賃金が横ばいであり、これは強い経済を示すものではない。
GDP成長率が鈍化しているのに、失業率は市場最低水準だ。
だから、今回の雇用統計からはどんなメッセージでも望みのまま読み取りうる。

シラー教授の関心は毎月の統計を超え、いつかはやってくる次の景気後退に向かっているようだ。
教授は、それがいつやってくるか、よりも、どれだけ過酷になるかが重要だという。
次の景気後退を過酷にしうる状況が現在すでに存在しているという。

米経済を脆弱にするナラティブが存在する。
単に政策金利がすでに低くFRBの金融緩和余地がないだけでなく、背景に強大になりうる他のナラティブが存在する。

シラー教授は、景気後退を過酷にしうる2つのナラティブを挙げる:

  • 機械・人工知能が人間から仕事を奪う。
  • 贅沢・華美を喜ぶ。

前者のナラティブはまだ顕在化しておらず、後者は大統領が火をつけたものだ。
これらいずれのナラティブも突然変化しうるという。

どうして消費者がまだ恐れていないのか不思議だ。

貿易戦争の影響で製造業にとどまらず幅広く悪影響を受けている米経済だが、好調な消費により景気後退を免れている。
労働者はまだ多く使っている。
将来、景気後退が来れば、省力化がいっそう進むかもしれない。
それなのに今はまだ失業への心配が表面化していない。

「いつかやってくる次の景気後退で失業率が上昇すると、人々は人工知能についての解釈を変化させるだろう。
そういう要因があるのだから、それが間違いとは言えないだろう。
だから、私たちはより深刻な景気後退を迎えるかもしれない。」

シラー教授は、現在の状況が、大恐慌後の1937-38年の景気後退に似ているという。
大恐慌やグレート・リセッションへの恐怖を引きずった経済環境だ。

恐慌を持ち出すのは嫌だが、大昔の景気後退の中で人々は趨勢的停滞という言葉を用いた。
人々は、大恐慌以来心地よさを感じておらず、そこに景気後退が来たからだ。

ローレンス・サマーズ氏が「趨勢的停滞論」を掘り起こしたのは2013年だ。

バブル研究の第一人者がヘッジ・ファンドの帝王と似たことを言い出した。
なんとも不吉な話ではないか。


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