次の景気後退で起こる日欧化:ジェフリー・ガンドラック

ジェフリー・ガンドラック氏のNew York Magazineによるインタビューの第3弾。
米国は日欧化し、仮にある程度の期間持続可能だとしても、大きな試練を迎えると予想している。


景気後退になれば税収が減り歳出が増えるのは明らか。
だから、次の景気後退期、信じられないほど国家債務は増加するはず。

ガンドラック氏が次の景気後退期に起こるであろう米財政悪化を心配した。
同氏によれば、戦後の景気後退期、連邦政府の財政赤字はGDPの約4%増えたという。
ドットコム・バブル後の景気後退(2002年)は6%、リーマン危機後の景気後退(2008年)は8%増加したという。
増勢なのかと心配になる数字の並びだ。

ガンドラック氏は、次の景気後退期、3兆ドルの財政赤字が発生するとの話を紹介している。
仮に名目GDPを22兆ドルとしてもGDPの13%超という計算になる。
こうした急激な財政赤字が起これば、それは市場参加者の姿勢に大きな変化をもたらすだろう。

間違いなく、外国人はもう米債務を買わなくなる。
中国はもう米国の債務を買っていない。

ガンドラック氏は、外国人投資家が買わない以上、国内消化を図るしかないという。
しかし、国民に買ってもらうのは考えにくいと滲ませる。
米国はただでさえ貯蓄不足の経済だ。
景気後退の中、3兆ドルもの資金を用意できるとは考えにくいからだ。
では、どうやって国内消化するのか。

だから、FRBはQEを再開し、日欧の中央銀行に追随し、永遠の債務マネタイゼーション・スキームに突入するのだろう。
日本では、政府とそれが統制する銀行・保険会社が国債の90%を保有している。


米国債の実質イールド・カーブはほぼ水面下だ。
インフレに勝てない利回りの債券では需要はおぼつかない。
FRBが国債買い入れを行わない場合、国民または外国人に買ってもらうためには相当な利回り上昇を覚悟せざるをえない。
(ガンドラック氏は以前、米長期金利が2021年ごろまでに6%程度まで上昇すると予想していた。)
しかし、そうなれば利払い急騰により米政府予算が組めなくなってしまう。
ガンドラック氏は議会予算局の予想を紹介する。
連邦政府の利払い負担は直近でGDPの1.25%だが、今後8年のうちに3.25-3.50%に増加するという。

FRBは政府の財政を支えるためにQEを再開せざるをえないということだ。
つまり、金融政策の財政従属を受け入れるしかない。
第2次大戦前後の長期金利ターゲットのようなことが必要になる。
さらに米国の場合、日本と比べて(有利な点もあるが)不利な点がある。
日本と異なり、米国債には外国人による保有が多い点だ。

外国人が保有する米債務をキャンセルできるかどうかわからない。
不換通貨でマネタイズしながら返済することはできるだろう。
面白い思考実験だ。
誰も答はわからないだろう。

「不換通貨でマネタイズ」とは、たとえば外国人からFRBが米国債を買い入れることで米国債の債務を返済するということ。
FRBが米国債を抱えれば米国債の返済懸念はなくなるが、その分ドルの価値が悪影響を受ける。
(政府の予算制約式の中で政府債務と通貨は対称の関係にある。)
準備通貨のステータスでその悪影響を押し返せるかどうかという話になる。

そして、ガンドラック氏は、誰もこの可否を予見できないと言っている。
しかし、この日本スタイルの財政悪化+マネタイゼーションが仮に相当な期間持続可能だったとしても、他にも問題があると言う。
銀行システムへの致命的な悪影響だ。
ガンドラック氏は、お気に入りの例を挙げて問題を説明する。

独国債の利回りはすべて(の年限で)マイナスだ。
これの問題は、国が銀行・金融業界を規制し、この状況に陥れたことだ。
ドイツ銀行株は、こう言っている今、史上最安値だ。


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