次の弱気相場はダブルパンチに:ジム・ロジャーズ

ジム・ロジャーズ氏が、世界の経済・市場の悪化を警告した。
今回の弱気相場は、前回同様の債務問題に加え、もう1つ大きな悪材料が重なるという。


(米中摩擦について)何かアナウンスがあり、みんな気分がよくなり、それが今の市場の上昇なのだろう。
しかし、今年後半、世界経済が悪化すれば、トランプ大統領はすべてを外国、中国・ドイツ・日本などすべてのせいにする。
そして、貿易戦争が再燃し・・・それで終わりだ。

ロジャーズ氏がKitco Newsで相変わらず不吉な予想を語った。
リーマン危機時に比べ米国の債務は拡大しており、次の弱気相場も過酷なものになるという。
しかも、今回はもう1つマイナス要因が増えている。

「次に弱気相場を迎える時には、過剰債務に加え貿易戦争が重なり恐ろしいものになる。
・・・トランプ大統領は魂から、頭脳から、貿易戦争がいいことだと信じており、貿易戦争に勝てると信じている。
他の誰より自分が賢いと思っている。・・・
米経済が悪化すれば、それを貿易のせいにし、貿易戦争を仕掛けるだろう。」

では、経済の悪化はいつ鮮明になるのか。
この点について、ロジャーズ氏は予想できないと述べている。
景気拡大や強気相場が年数で終わるものではないからだ。

一方、ロジャーズ氏は、終わりの兆しが見えつつあるともいう。
前回の停滞期の前兆はアイスランド、アイルランドなどであり、これらはほとんど注目を集めなかった。
その後、ベア・スターンズ、ノーザン・ロック、リーマン・ブラザースと問題は深刻化、注目を集めていったと回想する。

「弱気相場とはいつもそんなものなんだ。
誰も見ていないところで始まり、後になってみんなすでに始まっていたことに気づくんだ。」

ロジャーズ氏は、今回もラトビア、トルコ、ベネズエラ、インドの銀行などが前兆である可能性を示唆した。

金投資について尋ねられると、ロジャーズ氏は、従来のスタンスを維持していると話した。
金保有を続けており、大きく下がれば買いたいが、今は買ってはいない。
このまま上がってしまえば、保有分の値上がりを享受し、それ以上追うつもりはない。
ロジャーズ氏の金保有の目的ははっきりしており、短期的な上げ下げには興味がないのだ。

もしも金がバブルになったら、バブルでは明らかに売らないといけない。
私はそうなってほしくない。
子供たちに持たせたいからだ。
みんないくらか金を、何物でもなく保険証券として保有すべきなんだ。


ロジャーズ氏は金価格が下がることをむしろ願っているようだ。
安く買いたいためだ。
一方、短期的に急騰することは必ずしも望んでいない。
しかし、バブルになれば、バブルとはあるべき価値を大きく超えた価格がついていることを意味するから、売るべきと考えている。
そして、その可能性を否定していない。

「今後数年で世界は巨大な問題に直面するだろうから、そうなるかもしれない。
そうなれば、金を売らないといけない。
いかなる資産もいったんバブルになったら、バブルを通して保有し続けるのは愚かなことだ。」

ロジャーズ氏は過去数年、米ドル上昇と下落、その後の金上昇を予想してきた。
世界経済の問題が深まればまず米ドルが買われ、そこで金に乗り換えるというゲーム・プランだった。
最近の金上昇は、ロジャーズ氏のイメージより少し早く訪れた感がある。

ロジャーズ氏は、金と同様、銀についても積極的に買っていないとした。
金と銀の2択ならば、過去の価格水準より相対的に安価な銀が望ましいとしたが、いずれも買うつもりはないという。
買うならば、もっと下がってからというスタンスだ。

目下何に投資しているか尋ねられると、通な投資対象を挙げた。

  • ロシア株: 破綻した企業の株
  • ベネズエラ: 投資したいが規制上無理

「国家が破綻し、国が大惨事にある時に投資をすれば、通常その後4-5年で大きな利益が得られるものなんだ。」

ハイエナ投資家としてのロジャーズ氏を垣間見たような投資ターゲットだ。
世の中で投資機会が枯渇している表れなのかもしれない。

ロジャーズ氏は、今が不確かな時期だとして投資家に注意を呼び掛ける。

今後数週間、数か月のうちに弱気相場になるかもしれないし、2020年になるかもしれない。
・・・
私は通常のこととしていくつかショート・ポジションを持っているが、ショートをするつもりもない。
でも、みんなにはとても警戒し、何が起こっているか注意するよう促したい。

この日のロジャーズ氏はとても眠そうに見えた。
機嫌は悪くなかったが、話はやや悲観的な方向に振れていた。
そう思ったのか、最後に明るい話題を少しだけ述べている。

「すばらしいニュースもやってくるかもしれない。
もしもトランプ大統領が中国で何かやれば、市場は好感するだろう。
北朝鮮で何かやれば、市場は好感するだろう。
しかし、それはあっても強気相場の終わりに近い時期のことだろう。
まだそうなる気配は見えない。」


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