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次の下落期はどこまで下げる:ジェレミー・シーゲル

ウォートンの魔術師ことジェレミー・シーゲル教授が、不確実性の高まる米国株市場の現状について解説している。
次の市場下落期にどこまで下げる可能性があるかにも触れており興味深い。


関税は極めて大きな脅威だ。
本格的に関税をかけるとなれば、メキシコ、そして対中国は引き上げとなれば、市場は弱気相場入りするだろう。

シーゲル教授がCNNで米国が振りかざす関税の市場への悪影響を予想した。
教授はその場合、弱気相場入りを「避けようがない」とまで言っている。

シーゲル教授は、米景気拡大がサイクル終盤である点を強調する。
今月で史上最長に並び、来月も続くなら新記録だ。
景気拡大の終盤の特徴の1つである低失業率も揃っている。

「こうした時はリスクが増大する。
関税のようなものがあると、景気後退に陥ってしまう。」

こうした不確実性が市場の重しとなる中、つい最近までFRBのスタンスが問題を大きくしていたとシーゲル教授は指摘する。
それで市場は不安定化した。
そこで4日のパウエルFRB議長のハト派的な講演となる。
シーゲル教授はこれを利下げの可能性の示唆と解釈し、歓迎した。
市場もそう捉え、素直に反騰した。

「たくさんの人が市場をショートしていた。
昨日(4日)はショート・カバーだったんだ。」

シーゲル教授はFRBが利下げすべきと考えており、市場の多くも同様だという。
その1つの理由として、現状、長短逆転しているイールド・カーブを挙げている。

「歴史的にこれは説得力のあるとても危険な指標だ。
私が調べたところでは、朝鮮戦争以降、イールド・カーブが逆転して景気後退にならなかったのはたった1回きりだ。」

シーゲル教授は、12月にFRBが利上げした時の米長期金利が3%台で上昇中だったことを指摘する。
現在は2.1%前後まで下げた。
こうなることを知っていたら、FRBも12月に利上げしなかったはずとシーゲル教授は推測する。
現在のFF金利誘導目標は2.25-2.50%。
この数字を低いと見るのか高いと見るのか。
教授の考えはこうだ。

「配当利回りより高く、インフレ率より高く、長期金利より高い。
これはリスク・テイクすべきものじゃない。」

近時にジム・ロジャーズ氏アラン・グリーンスパン氏が、米市場上昇後に困難な時期が訪れると予想している点については、きっぱりと反対意見を述べている。
根拠は市場のバリュエーションだ。
低金利下でのPERは17倍は決して理不尽な水準にないと考えられるからだ。

興味深いのは次の市場下落時についての予想だ。

過去の金融危機のような40%以上のメルトダウンのようなものは考えられない。
最悪でも弱気相場、つまり20%の下落で、これは関税が行き着くところまで行った場合だ。
中国と合意に至った場合は、景気の減速と10%の調整だろうが、過酷なものは予想されない。

投資家へのアドバイスを求められると、投資家の種類別に話している。
まずは日頃からシーゲル教授が奨めている長期投資。
「このバリュエーションで手を出さないだろう」とめずらしく慎重な言い方だ。
景気サイクル終盤にあり、不確実性が高いことによるものだろう。

次に、マーケット・タイミングを試みたい投資家に対しては、半分笑いながら注意を呼び掛けている。

もしもサイクルに賭けたいなら、関税が解決するまでもう少しダウンサイドを見ないといけない。
でも、市場は急激に上昇するかもしれない。
もしも(底を)逃せば、歴史的に底の近辺は見逃すものだが、突然、売った株価より高くなってしまうものだ。


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