格差対策のための所得増税・資産税に対する投資戦略:マーク・ファーバー

スイス人著名投資家マーク・ファーバー氏が、世界の格差問題と投資戦略へのインプリケーションについて書いている。
今後、西側諸国が所得増税や資産税導入を検討するようになると予想しているという。


「拡張的な米金融政策のおかげで、過去20年程度の間、家計の純資産は上昇してきた。

しかし、資産階層ごとの損得を見ると、米家計の最富裕層が家計資産増分のすべてを刈り取ったことがわかる。
憂鬱になるのは、FRB統計よると、資産下位50%のメジアンが2006年以降実際に下落している事実だ。」

ファーバー氏が月例書簡で、世界の多くの国で進んだ格差拡大について危機感を述べている。
同氏によれば、所得・富の格差拡大のほとんどが量的緩和など金融緩和の産物だ。
金融緩和は景気を刺激する以上に敏感に資産価格を押し上げる。
結果、富める者がますます富むことになった。
ファーバー氏は、最近、所得増税や資産税導入を提案する政治家が増えたことを(支持するわけでもなく)当然の成り行きと見ている。
これは、世界の政治に何をもたらすのか。
ファーバー氏の予想は2つの可能性を指し示している。

「今後すべての民主党候補が高所得者・資産保有者に何らかの課税を求めるようになるのは明らかだ。
だから、アメリカ人がトランプ氏を嫌っていても、資産確保を目的とする限り、トランプ氏に投票する以外選択肢がないのだ。

個人的には、数年のうちに資産保有者・高所得者の最上層への何らかの資産税が導入されると確信している。
もしかすると、すべての西側民主主義国に及ぶかもしれない。」


米民主党が社会主義的色彩を強めれば、それがむしろトランプ陣営を利すると示唆されている。
その一方で、世界の多くの国で、増税による再配分により格差問題に対処しようとする動きが現実のものとなると見ているのだ。
ファーバー氏はしばしばオーストリア学派の経済学に共感を示し、市場の自己調節機能を重視する姿勢を示している。
もちろんトランプ大統領には批判的だが、一方でケインジアンや社会主義的な考えとも距離を置いてきた。
そのファーバー氏をしても、世界中で表面化している格差拡大を問題視している。
そして、その反動として起こるポピュリズムや社会主義に警戒している。
今回の場合、ファーバー氏は究極の選択として社会主義との同調の可能性を吐露している。

「もしも社会民主主義の候補者があなたのお金を取り上げ彼らに権力を与えた人たちに再配分しようとするならば、持続不可能な財政負担が生じ、官僚主義がはびこり、これが経済成長を阻害し、計画経済の色彩を強くするだろう。
それと同様に、社会主義者は主張するだろう(そして私も主張しなければならない):
ほとんどの資産価格を押し上げ奇怪なまでに富と所得の格差を拡大させる金融政策をFRBほかの中央銀行に追求させたことで、エリートたちが人口の90%からお金を取り上げたと。」

ファーバー氏はある程度の増税と再分配に理解を示し、20世紀前半のカナダの政治家トーマス・ホワイト卿の言葉を紹介している。
ホワイトは1917年、戦費調達のために所得税を導入した財務相で、カナダ下院での審議でこう発言している。

『私の税制についての経験、それはかなりのものだが、唯一人気のある税金は、他の人にかかる税金だ。』

ファーバー氏は、格差の時代の投資戦略について短くこう奨めている。

投資戦略の観点から言えば、米政策に社会主義の色彩が増えることは、米資産、特に米国株へのポジションを減らすべきことを意味する。
米国株はそれ以外の株式に比べて極めてバリュエーションが高くなっている。


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