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格差問題がもたらす将来の金融市場:門間一夫氏
2019年12月5日

日銀で調査局長などを歴任した門間一夫氏が、格差問題がもたらす政策思想の転換とその市場へのインプリケーションについて論じている。


金融政策と市場機能の重視という現在の政策思想の下では、先進国の低金利政策に出口が訪れる可能性はほぼゼロである。
金融緩和で物価が上がるという教科書的なメカニズムは20世紀の遺物だと考えた方がよい。

門間氏がReutersへの寄稿で、過去数年先進国の中央銀行が入り込んでいた袋小路を指摘している。
いわゆるリフレ派は金融緩和によってインフレが高まると主張したが、日米欧での壮大な社会実験を見る限り、それは現実には当てはまらないようだ。
唯一インフレが2%近辺にある米国にしても、金融政策に加えて大規模な財政政策があったからこそ実現したことだろう。
金融政策がインフレを醸成できない時、それでも中央銀行にインフレ上昇の責任を負わせたら何が起こるか。
それは、半永久的に続きエスカレートしていく金融緩和だろう。
つまり、金融緩和に出口が訪れる確率は「ほぼゼロ」なのだ。

しかし、その袋小路にブレークスルーが訪れるのかもしれない。
いつか訪れる景気後退の中で、世界、特に米国で格差問題が問題視されていく可能性だ。

格差問題を取り巻く論調や政治情勢の変化は、来年というよりももっと中長期的に、米国の『政策思想』を大きく変える可能性がある要素として認識しておくべきだろう。
・・・
低成長と格差問題が『政策思想』そのものを財政機能重視へ転換させる、という別のルートで、金利上昇圧力が高まっていく可能性は十分にある。

門間氏が予想するのは、格差問題の中で(MMTのような主張も含め)財政政策を求める声が強まるということだ。

米大統領選で誰が勝とうが、そもそも候補の中に財政再建を唱える人がいない。
右だろうが左だろうが中道だろうが、みんな財政拡大または減税を求めているような状況だ。
低金利はそうした動きの背中を押すかもしれない。

門間氏は、米財政拡大の市場へのインプリケーションを述べている。

米国の格差問題は、長い時間をかけて、世界的な金利上昇圧力に転化していく可能性を秘めているのである。

もう少し具体的に何が起こりうるのか拾い読みしよう。
・米株安と米金利上昇
・ドル高
・日欧で金利引き上げ余地
・世界的なインフレ圧力
・超長期債のリスク増大

門間氏はいずれも起こりうると書いているだけなので、早合点すべきでない。
投資家は定量的に検討すべきだ。
例えば、金利上昇が実質金利の上昇なのか、インフレ上昇なのかは大きな分かれ道だ。
前者ならドル高だが、後者ならドル安の要因となるためだ。


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