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株式・債券の逆相関はなぜ壊れそうなのか:ブリッジウォーター
2021年5月25日

ブリッジウォーター・アソシエイツのレベッカ・パターソン氏が、インフレ・リスクを度外視すべきでないとし、資産クラスの分散についてアドバイスしている。


現在はとても通常でない時期だ。
米国はこの数十年で最大の好景気を迎えた。
パンデミックから脱し再開する中で、とても多くの様々な逆流が起こっている。

パターソン氏がBloombergで、現在の経済・市場が超長期で見ても極めて特異な時期であると話した。
パンデミックによって人為的に縮小させられた経済が、急速に逆転している。
同氏は、これがインフレ・リスクを高めると指摘する。

今年やその後について、そこそこインフレ上昇が続くリスクがある。
もう上昇しているが、高く長くとどまるリスクだ。
一因は、供給が需要拡大に追いつくのに時間がかかるためだが、他の一因はもっと構造的なものだ。

パターソン氏は構造的要因として2つの例を挙げた:

  • グローバル化の頭打ち・逆行
  • 資本 対 労働の優先度の逆行

ベース効果にしても、短期的な需給のミスマッチにしても、ほどなく落ち着いていく要因だろう。
しかし、構造的要因はもっと長い間いすわり、物価に影響を及ぼす可能性がある。

パターソン氏は、ボスであるレイ・ダリオ氏に比べて控えめな言い方でこのリスクへの対処を促している。

こうした趨勢的な力に鈍化、いくらか逆行するものがあれば、循環的な力とともに少し高いインフレ環境になるかもしれない。
日々の変動はさておき、投資家は自問すべきだ:
『もしもリスクが現実のものとなり、現状がFRBが好んで言うように一過性のインフレでない場合、自分のポートフォリオは十分な防御を備えているだろうか?』

ダリオ氏の「現金はゴミ」発言は、いまだに市場関係者の記憶に強く残っている。
同氏は現金だけでなく債券も避けるべきと語っている。
通貨の価値が低下すると見ているからだ。
これは、投資家に新たな混乱を生んだ。
現金・債券を避けるべきなら、どうやってリスク・ヘッジを行えばよいのか。

パターソン氏は2つの答を説明した。
1つは、銘柄選別だ。

「仮に債券利回りが上がった場合も、他のまだ魅力的な債券がある。
例えば中国の10年金利はまだ3%で、はるかに通常の(経済)政策ミックスが取られている。
どんな環境でもバランスのとれた分散を与えてくれる他の資産を取り入れることも考えられる。」

パターソン氏がもう1つ重要と考えるのが資産クラス間の相関だ。

「60:40ポートフォリオは過去数十年、何にもしなくても儲けさせてくれていた。
株価が上昇し、債券利回りは低下した。
今日、その関係が壊れる可能性が出てきた。
投資家は、これがなぜ起きて、何をすべきかを理解しないといけない。」

株式と債券を6:4のバランスに保つ「60:40ポートフォリオ」は、過去アメリカ人の資産運用をとても楽にしてくれていた。
例えば、インデックスと長期国債をこの割合で買っておけば、メンテナンスの手間もたいしてかからなかった。
株価が上昇する度に、少しずつインデックスを崩せばよかった。
株価が大きく下げれば、国債を崩してインデックスを買い増せばよい。
好都合なことに、株価が下がると国債が上がることが多かった。
そうした便利なやり方にいくつか試練が起こっている。

  • 株式と債券の間の逆相関の関係が消えるかもしれない。
  • 超長期の金利低下が終わり、投資リターンへの追い風が1つ減る。
  • 将来リターンの見込みが低下し、6:4では十分な期待リターンが得られない。

パターソン氏は、この1つ目の問題の原因がインフレ上昇である可能性に言及し、その対処法をアドバイスしている。
インフレ上昇が株式にも債券にも脅威を与えるという可能性だ。

もしもあなたが、この関係が壊れた一因をインフレと考えるなら、債券を持ちすぎず、そのリスクに対する防御となる資産を保有していることを確かめておくべきだ。
最近すてきに回復した金でも、物価連動債でもよい。
株式であっても、長い間により多くの安定的キャッシュフローを与えてくれる。
デュレーションの問題に対してさほど脆弱でない。

こうしたアドバイスをするのは何もブリッジウォーターだけではない。
この種のアドバイスの最大の特徴は、現金・米国債などの名目価格にフロアがついていること(額面より下がらないこと)を無視しているように思えることだ。
とても賢い人たちが気付いていないはずはないから、なんとも不気味な気持ちになるのだ。


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