株安・円高に備えろ:榊原英資教授

ミスター円こと青山学院大学 榊原英資教授が、日米株価とドル円相場の見通しを語った。
米景気のピークアウトとともに、市場は円高ドル安と株安に転換するだろうという。


春先にかけて⽶景気のピークアウトが意識され、⾦利先⾼観が薄れるとともに外国為替市場では円⾼・ドル安傾向になるだろう。
円は1ドル=110円超えを試す展開になりそうだ。

榊原教授が日経QUICKニュースのインタビューで予想している。
最近までのドル高は、財政刺激策に後押しされた好調な米経済によるところが大きい。
米実質金利の上昇は、世界の投資家のドル買い意欲を強めてきた。
ところが今、こうした方向性への逡巡が見られ始めている。
米中摩擦などもあり、米国や世界の経済の先行きについて慎重な見方が増えている。
米経済成長への期待が下方修正され、実質金利も思うほど上昇しないとなれば、ドル買いのドライバーは萎んでしまう。

榊原教授によれば、円高は日本にとって困難な状況を生むという。

「円⾼進⾏時に⽇本の当局が打てる⼿はほとんどない。
トランプ⽶政権はもともとドル⾼を嫌っている。
1ドル=110円超といっても18年の⾼値の104円台半ばまではまだ距離があり、為替介⼊に理解を得られる⽔準ではない。」

1990年代の超円高局面で為替介入の陣頭指揮を執った榊原教授は、為替介入の実際を知り尽くしている。
為替介入は協調介入でなければ効果がなく、そのためには2国間の合意が必要だと、教授はいつも言っている。
トランプ政権相手にその合意がとれるとは考えにくい。
日本がやれることがあるとすれば、国内政策の名のもとに金融緩和を行うことだが、すでに金融緩和も伸びきったに近い。


「あくまでリスクシナリオだが、円が1ドル=100円に近づく可能性も否定できない」

榊原教授は、日米株式が「ピークに来て」おり「調整局面に入っていく公算が大きい」という。
このため、今後、円高ドル安と株安という好ましくない組み合わせになると警告している。

ただし、国内景気についてはコンセンサスよりやや強気ともとれる発言をしている。

「⽇本の景気は19年秋に消費税引き上げがあっても、2020年の東京五輪の前に腰折れすることはなさそうだ。
前回1964年の東京五輪の前に新幹線や⾼速道路などのインフラ投資が拡⼤したような勢いはもちろんないにしろ、公共事業の需要が景気を下⽀えするのではないか。」

このため、日銀が金融政策正常化に踏み切るとすれば「東京五輪の開催で景気がよくなったときではないか」という。

市場では、オリンピック特需について、オリンピック実施の前年にはピークアウトしているとの予想も多い。
これは、消費増税の駆け込み需要の時期と重なる。
このため、何もなければ2019年10月以降に急速な冷え込みが起こりうる。
ただし、今回は安倍政権による実質減税などの措置もあるから、こうした動きにはならないだろう。
駆け込み需要が減り、増税後の冷え込みも減るだろう。
しかし、インフラ投資などの峠は2020年までは続かないし、実質減税が切れる2020年夏には本格的に増税の悪影響が及ぶだろう。
仮にそうした展開になれば、市場はそれを先取りすることになろう。


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