株価下落の本当の原因:ロバート・シラー

ロバート・シラー教授が最近の株価について、安易にFRBのせいにするのは間違いだと指摘している。
FRBの政策はむしろ理に適っているとし、別のところに主因がある可能性を見逃してはいけないと諭している。


「パウエル議長はとてもバランス感覚のとれた人物のように見え、自分の仕事をしている。
脅しに屈していない。・・・
彼のやっていることに感心している。
私には、彼がやったことが市場を大きく混乱させたようには思えない。」

シラー教授がCNBCで、パウエルFRB議長を称賛した。
19日のFOMCで十分にハト派的なスタンスが示されなかったことで、株式市場は下落トレンドを脱することができなくなった。
市場関係者や識者がこぞってFRBを批判しだした。
トランプ大統領に至っては、多くの閣僚に続いて、パウエル議長を解任しようとしていると報じられている。
FRBプットに慣れきった人たちがFRBをスケープ・ゴートにし、日頃トランプ大統領を批判している人たちまでが結果的に大統領の見方をしているのである。

しかし、世界屈指の行動経済学者はこうした市場・社会のヒステリーに左右されることはない。
冷静に2つの観点からFOMCと市場の混乱を見つめている。
1つ目は、FOMCが下げのきっかけを作ったにせよ、それだけで下げや混乱を説明し尽くせるのかということ。
米政策金利が異例に低水準に据え置かれてきたのは事実であり、景気が回復すれば上げるのは当たり前とシラー教授は指摘する。

FRBはとても理に適っており、その職責を果たしている。
とんでもないことをしたようにはまったく見えない。
・・・
FRBのとったこのステップは基本に照らしてとても理に適っている。
これは小さなステップにすぎず、FRBは来年の利上げ予想を3回から2回に引き下げている。


そして、2つ目は他に原因がないと言えるのかという点。
シラー教授は、市場が目先のニュースに反応するのは当たり前という。
今回もニュースで下げたのは事実だろうが、変化はもっと前から起こっていたのではないか。

「市場で見られたボラティリティ上昇は、2018年の1月、2月初めからだ。
だから、他に何か要因があるんだ。」

この視点はとても重要だろう。
世間では、現在の下げがFRBのせいだとの錯覚が広まり始めている。
実際には、FOMCの前から下落・ボラティリティ上昇は始まっていた。
FOMCはきっかけ、あるいは理由の1つであって、唯一の理由ではない可能性が高い。

過去の景気後退局面では、FRBが利上げを停止しても株式市場はまだ上昇を続けた例がほとんどだ。
金融引き締めが株価を下落させるというのは厳密な経験則ではない。
ここで株価下落の犯人をFRBとすることは、本当の原因を覆い隠すことにつながるかもしれない。

では、何が本当の原因なのか。
シラー教授は常々、株価暴落にははっきりとした原因が見当たらないことがほとんどと解説している。
ただし、暴落の前には度々現れる市場心理がある。

私は景気減速を心配している。
米国株市場、住宅市場、債券市場はいずれもとても高い価格がついていた。
米経済研究所の景気拡大で見ても、史上最高を記録しそうだ。
みんながそのことを口にし、考え始めた。
だから、私は市場や景気後退について心配している。
・・・
この混乱は、FRBの特定の行動によるものというより、調整が待ったなしだというような理論を聞かされてきたためではないか。


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