デービッド・アインホーン氏率いるグリーンライト・キャピタルの第3四半期の投資家向け書簡が刺激的だ。
グリーンライト・キャピタルの第3四半期は手数料・費用差引後で+12.9%、3四半期累計で+27.7%だった。
S&P 500指数がそれぞれ-3.3%、+13.1%だったから、絶好調だったことがわかる。
ロングしているバリュー銘柄はもちろん、ショートやマクロのポジションもリターンに寄与したという。
主要銘柄についても説明がなされているが、今書簡は収穫期のタクティクスが多く書かれていて興味深いものとなっている。
第3四半期末のエクスポージャーはロング94%、ショート66%となっている。
第2四半期末ではロング107%、ショート84%だった。
私たちは再び『買い手のストライキ』に入り、今四半期中に大きなロング・ポジションを作ることはなかった。
・・・グロスのエクスポージャー(訳注:ロングとショートの和)を191%から160%に縮小し、もっと前向きな見方ができると最終的に決断する時に新たなアイデアに資本を投下できるようにした。
その時をもたらすのは地政学だろう。
同書簡は、最近の地政学的緊張が高まるケースを振り返り、一時的(場合によってはわずか数時間)に株価が下げても、すぐにFRB利下げ期待から株価が上昇に転じてきたと指摘する。
ただし、いつまでも続くものではないと考えているようだ。
理由は、戦略石油備蓄の放出とシェール規制により、米国が原油価格上昇に対して脆弱になっている点だ。
「原油価格上昇が消費を圧迫し、景気後退を引き起こす可能性が高い。
結果生じるインフレは、失業率の上昇中に物価上昇と戦わなければいけないという難しい位置にFRBを追い込む。
市場見通しは大いに心配だ。」
グリーンライトは消費財の大きなポジションを売却し、同セクターへのエクスポージャーは限定的になったという。
エネルギー価格上昇で恩恵を受けるため
- 「ロングのネット・エクスポージャーはほぼすべてがエネルギー・セクターによるもの」
- 「2024年にかけて原油価格がはるかに上昇すれば恩恵を受ける先物・オプションを通し、大きなマクロ・ポジションを加えた」
と、かなり大きくエネルギーに張っていることがわかる。
数年前まで不調を極めたグリーンライト。
仕切り直しで見事に復活したようだ。
今は景気後退を予想し、マーケット・タイミングに前のめりになっているように見える。
私たちが正しいなら、現在の極端な水準の地政学的緊張は、数時間を超えるタイムフレームでの株価下落につながるだろう。
その時にチャンスとなれば、大きく下げた株式や本当に圧迫された債務を買うつもりだ。