海外経済 投資

来年5-6%ドル安に:ゴールドマン・サックス
2020年12月2日

ゴールドマン・サックスのKamakshya Trivedi氏が、来年にかけての世界経済の回復に強気の見方を示し、米ドル相場のさらなる下落を予想した。


私たちは、ワクチンがもたらす世界経済の回復についてとても前向きな見方をしている。
市場がすでに演じた回復にもかかわらず・・・中国を除いて世界の多くの経済がパンデミック前の水準よりかなり低い水準にある。
だから、私たちは世界の回復がとても強く跳ね上がると予想している。

Trivedi氏がBloombergで、ワクチン開発がもたらす世界経済の回復について強い自信を示した。
同氏が予想する回復はかなり強いもののようだ。
しかし、強い経済回復は良いことばかりでもない。
仮に、経済回復とともにインフレが上昇すれば、中央銀行はブレーキを意識し始めるかもしれない。

Trivedi氏は、特に2021年第1四半期から第2四半期に入るあたりで物価上昇圧力が加わると予想する。
この時期を予想するのは、ベース効果が効いてくるためだ。
来年の3月の数値の前年同月比は今年の3月と比べることになるが、今年の3月はいわば異常値だ。
今年の3月が低い分、来年の3月は前年同月比では高く見えてくる。
同氏はまた、コモディティで価格上昇が見られる点も挙げている。
しかし、総じていえば、インフレ圧力が極端に高まることはないと予想している。

中央銀行が心配する、GDPギャップが引き締まることで起こるコア・インフレが2021年に大きく発現するとは予想しない。
2021年はまだそれには早い。・・・
いくらかインフレが心配になるが、中央銀行を心配させ金融引き締めに向かわせるようなインフレは予想していない。

これはもちろん足元の投資にとっては朗報だ。
仮に2021年にFRBに金融引き締めを検討させるようなインフレが起こるなら、先を読む市場にとってはすでに要注意となる。
実際に金融引き締めに動かなくても、気配を感じさせるだけでも、2013年のテイパータントラムのようなことが起こりかねない。

Trivedi氏は、このほどほどのインフレ予想が外れる可能性にも触れた。
仮に1月のジョージア州上院選挙の決選投票で民主党が勝ち、上院をコントロールするようなら、財政刺激策の規模が大きくなり「より長く続くインフレ上昇」が起こる可能性が出てくるという。

Trivedi氏は現在の環境を、米ドルの下落トレンド継続の「かなり典型的なレシピ」と表現し、3つの要因を挙げた。
1つ目は、3-4月に米ドルが「20%ほど割高」だった点。
依然として10%程度の割高だという。

米ドルの実効為替レート(ブロード)
米ドルの実効為替レート(ブロード)

2つ目は低金利。
FRBは大幅に利下げし、ゴールドマンは5年の米実質金利がマイナス2%近くまで低下すると予想しているという。
つまり、米金利はまだ下がると見ている。

5年もの米物価連動債利回り
5年もの米物価連動債利回り

3つ目は回復にともなう世界のマネー・フローだ。

一番重要なのは、深く幅広い世界経済の回復を予想している点だ。・・・
こうしたタイプの世界の経済成長改善があると、これまで安全資産とされていたもの、ドルもある程度安全資産だが、それらに流入していた大量の資金が、コモディティ主導の通貨、新興国市場のような幅広い、リスクの高いところに回帰する傾向がある。
これらすべての背景から、来年は実効為替レート(ブロード)のベースで5-6%のドル安になると予想している。

日本の投資家が読む上では、これがドル安予想であることに注意すべきだ。
ドル円相場は円の側のストーリーが問題になる。
円はおそらく割安水準であり、金利低下余地は小さく、リスク・オンで(対新興国などで)売られる通貨であろう。


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