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来年急激な経済回復が起こる:ポール・クルーグマン
2020年12月3日

ポール・クルーグマン教授が、米マクロ経済について楽観的見通しを述べつつ、同時に心配事にも言及している。


申し訳ないが、あなたの楽観を私は共有している。・・・
今後1-2年について私はかなり楽観している。

クルーグマン教授がBloombergで、米経済に対して楽観していると述べた。
キャスターの質問は、経済・雇用がコロナ・ショック前に近いあたりまで回復しているとの見方に同意するか、だった。
対する教授の答は、同意する、だ。
冒頭クルーグマン教授がユーモアたっぷりに謝ってみせたのは、ハト派の急先鋒である教授に世間が弱気見通しを求めていると考えたからだろう。
しかし、教授は良くも悪くも空気を読まない人だ。

春から言っていることだが、いったんワクチンができてパンデミックが過ぎ去れば、状況は2008年とは異なったものになる。
当時は危機から脱したものの、大きな家計債務がのしかかり、住宅も過剰に建設されていた。
今回は突然ウィルスの打撃を受けたが、ひとたびそれが去れば、ペントアップ・デマンドがあるはずだ。

クルーグマン教授の見通しは市場のコンセンサスとぴったり一致している。
教授は、民間の経済主体が貯蓄の水準を高めている点を指摘し、強力なパンデミック対策が実現するにつれ「来年のどこかでかなり急激な経済回復が始まると楽観」しているという。
その経済回復が永遠に続くものではないとしながらも、とりあえず、現在の楽観的なコンセンサスは「正しい」と話した。

クルーグマン教授の予想については多くの否定的見方がある。
日本にデフレ脱出策を指南し、日本は遅ればせながらかなり忠実に実行したが、結局は脱出速度を得られなかった。
トランプ政権発足前には、トランプ政権となれば経済・市場に大打撃が及ぶと予想したが、結果は真逆だった。
教授の予想の特徴は理論的かつ定性的であること。
ストーリーとしてはありそうに聞こえても現実はそうならない可能性に注意が必要だ。

とはいえ、コロナ・ショックについてはクルーグマン教授の見方は適切だったといえる。
パンデミックが本格化する前の2月には、当時の状況がサブプライム/リーマン危機前より脆弱で、暗にブッシュ政権との比較でトランプ政権のリーダーシップに問題があると指摘していた。
コロナ・ショック開始後の4月になると、用心しながらも、リーマン危機のような危機とは性質が異なるとの見解を示していた。
今回もそれを踏襲するものであり、かつ前向きな「楽観」という言葉が多用されている。

しかし、話が進むにつれ、教授の楽観の対象がマクロ経済に限ったものであることが明らかになった。
社会には多く取り残された人たちがいるとし「彼らを助けることは私たちの責務」と述べた。

私は政治について楽観しすぎることはない。・・・
私は経済について楽観しているが、人々(の生活)についてはそう楽観できない。


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