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来年には世界的な通貨の減価が起こる:マーク・モビアス
2021年8月31日

マーク・モビアス氏が来年にかけて世界的な通貨の減価を予想し、金をポートフォリオに10%程度組み込むことを奨めている。


現物の金を(ポートフォリオに)10%入れておくべきだろう。・・・
増発された信じがたい額のマネーサプライを考えれば、来年には相当大きな通貨の減価が世界的に起こるだろう。

モビアス氏がBloombergに語った。
ポイントは2つ。
まず、通貨の減価をヘッジするために金投資が有効との主張。
2つ目が、現物を保有すべきとの主張。
長年、世界中を見てきた老投資家からすれば、政府による収用は無視できないテール・リスクなのだ。

ドル建て金価格は(当然のことだが)ドル相場と逆相関の関係にある。
ドル相場は米インフレと関係が深く、結果、金融緩和と関係が深い。
ドルと金の紐づけがなくなった50年前のニクソンショック以降、金価格は紆余曲折しながら上昇してきた。

金価格
金価格

目立つのは

  1. 1980年前後: インフレに苦しんだ時期
  2. 2002-11年: ドットコム・バブル後の金融緩和からリーマン危機後の金融緩和の時期
  3. 2018-2020年: 金融政策正常化サイクル終期からパンデミックにともなう刺激策の時期

1は実際にインフレが発現した時期。
1970年代にはニクソン・ショックというある種の量的緩和政策と財政赤字があり、それがインフレの一因となった。
インフレが実現する段階で、金価格は特に大きく反応した。

2と3では、インフレはまだ実現していない。
現実のインフレを先回りして、予感で金価格が上昇した面が大きい。

金価格(2007年以降)
金価格(2007年以降)

問題は2020年にいったんピークアウトしたかにも見える金価格が今後どう動くかだ。
前回のサイクルでは、2012年前後にピークアウトしている。
この時期はFRBが金融政策正常化を試みた時期でもある。
現在もそうした時期に差し掛かりつつある。

モビアス氏の読みは、金が(ドル建てで)さらに上がるというもののようだ。
インフレ・トレード、リフレ・トレードと呼ばれるような戦略の旬はまだ終わっていないということだろうか。
今回のサイクルが前回と異なるのは、今回は消費者物価指数で示されるインフレが実際に上昇したということ。
もちろん一部は一過性の要因によるものだろうが、すべてがそうであると考えるのは奇妙だ。
2012年頃のように予感は退潮するのか、それとも1980年頃のようにインフレの実現でもう一段上昇するのか。
誰にも確たることはわからないのだろうが、それだけに「10%」というそれほど大きくない数字に説得力があるのかもしれない。


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