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本当に恐ろしいテールリスク:ブリッジウォーター
2021年7月30日

ブリッジウォーター・アソシエイツのレベッカ・パターソン氏は、強い米経済の継続を予想しながら、一方で最悪のリスク・シナリオについて語っている。
ここで学ぶべきは、経済再開が決まった未来ではないということだろう。


過去のサイクルにおける現在にあたる時点では、FRBは引き締めを始めていた。
今回は、物価平均目標のためにそうならない。

パターソン氏がBloombergで29日、今週のFOMCとGDP統計発表についてコメントした。
FOMCの結果からは、金融政策が前例よりハト派的であり続けることが確認されたという。

FRBは2%物価目標の定義を変更し、なりふり構わず金融緩和を継続しようとしている。

「FOMCと今日のGDP統計の両方からわかるのは、いかにコロナウィルスが現在日々経済で起こっていることを不透明にしているかということだ。・・・
企業はとても強い需要を満たすのに苦戦しているが、その一因はサプライチェーンの混乱であり、別の一因はコロナウィルスだ。
だから、今後数四半期、この綱引きが続くのだろう。」

コロナウィルス、特にデルタ変異種は現在も米経済活動やFRB金融政策に影響を及ぼしている。
米国におけるワクチン接種は、スタート時こそ順調だったが、今では接種率が伸び悩んでいる。
バイデン大統領は1人100ドルのインセンティブをつけるなど、接種率の向上に努めているが、信仰やそれに近い理由で接種を拒んでいる人には響かないだろう。
ワクチンで先行したはずの米国でも、コロナウィルスは終わっていない。
今後も、パンデミックの状況次第で経済は影響を受ける可能性がある。

こうした不安材料がありながらも、大局的には強い経済が予想されるとパターソン氏は話す。

今回のGDP統計が期待外れだとしても、超強力な民間セクターがある。
財政政策がおそらく第4四半期にかけて実施されるだろうし、企業は能力に応じて在庫を積み戻すだろうから、方向としてはとても有利だ。
しかも、FRBは金融緩和を拙速にやめることはない。

パターソン氏の見方は、市場のコンセンサスに沿ったもの。
ファンダメンタルズを見る限り、米経済には強気の見通しを持たざるをえない。
もちろん、ピークアウトするような可能性はあろうが、ピークアウトしても強いものは強い。
その後の急降下を予想するのでなければ、弱気な見方はとりずらい。
市場参加者の多くが、そうした見通しを共有しているのだろう。

パターソン氏は、デルタ変異種によるリスク・シナリオについて訊ねられると、米経済が被るショックは諸外国に比べて小さくなると予想した。
理由を2つ挙げている:

  • ワクチン接種率が高い。
  • 政策対応が諸外国と大きく異なる。
    「米国はロックダウンをしないだろうし、その確率は極めて低い。
    大衆も政府も望まない。」

パンデミックがさほど深刻にならず、経済を停止させないから、ショックが少なくてすむという予想だ。
しかし、ここには、パンデミックが深刻にならないという前提がある。
これが確実な前提であるかどうかはわからない。

パターソン氏は、皆が気づき恐れているがあまり口にしない最悪のリスク・シナリオについて控えめに指摘している。

仮に、ワクチン接種が進まない国で、ウィルスがワクチンの効かない変異種に変異する時間・能力を与えられ、振り出しにもどったら。
これが本当に恐ろしいテールリスク・シナリオだ。
どれだけ確率があるかはわからない。
確率は低いだろうがゼロではない。


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