木内登英氏:物価目標が出口を遠くする

7月まで日銀審議委員を務めた木内登英氏が、欧米に後れを取っているように見える日銀の金融政策について懸念を語った。
欧米からの後れが大きくなるほど、正常化に踏み出す際の市場の反応が大きくなりかねないという。


2%の物価目標は適切なのか、2%という水準に根拠があるのかというと疑問だ。
2%物価目標の位置づけを見直した上で正常化に向かった方がいいのではないか。

木内氏はテレビ東京番組で、日銀もFRB・ECBから大きく後れることなく金融政策正常化に着手すべきと主張した。
日本は欧米より先に失業率、景気の水準(需給ギャップ)が改善していた点を挙げ、日銀はFRB・ECBより先に金融政策正常化に着手してもおかしくなかったと指摘する。
特に歴史的低水準にある失業率は人手不足を深刻化させ、経済活動の足を引っ張っている。
それでも金融政策正常化に向かわなかった最大の障壁が2%の物価目標だった。
この意味で、2%物価目標は金融緩和継続のための言い訳として使われているのである。

世間はどうかと言えば、CPIが2%まで上がらなければいけないと考える企業・個人はほとんどいないだろう。
2%を願っているのは金融政策を楽にしたい日銀の一部と、金融緩和継続で票を買いたい与党ぐらいだ。

「景気の水準を適正に保つのが金融政策の本来の役目であって、潜在成長率を高めるというようなことは金融政策の役割ではない。」


木内氏は、伝統的な金融安定化政策についての考え方を述べ、高圧経済のような考え方を排している。
昨年、イエレンFRB議長が高圧経済に言及した時には、株高を望む株屋が喜んだ一方、債券屋などの間では約束違反との反発も強まった。
その後、FRBはそうした市場の反応とは関係のないところで、金融引き締めを選択していくことになった。

「正常化で欧米に後れれば後れるほど、市場、特に為替市場の反応が大きくなり、出口がますます難しくなりかねない。」

FRB・ECBが金融政策正常化を進めれば、それは円安要因となるはずだ。
日銀は、依然として頑なに出口戦略について語ろうとしない。
こうした状態が、為替を大きく円安側にひっぱってしまったとしたら・・・。
ある日突然、日銀が出口戦略を口にしたら・・・。
内外金融政策の格差が拡大すればするほど、反動(景気後退と円高)も大きくなりかねない。

木内氏は、国債買入れの玉が枯渇する点にも懸念を呈した。
今のペースでの買い入れなら来年半ばには限界が訪れると言い、いきなり限界に達すれば金融市場が混乱すると心配する。

「毎月の買入れ額を減らすことで政策の持続性が高まる。
買入れペースを減らせば市場は少し心配するかもしれないが、
『逆にそれによって買入れの持続性が高まり、いきなり買入れができなくなる、いきなり国債市場の流動性が下がって国債市場が混乱する事態が避けられる』
という説明を十分した上で正常化の方向に向かっていくのが重要だ。」


 - 国内経済